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 不安から危機感へ─。中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19、以下新型コロナ)は、誰も予想し得なかった勢いで拡大。製造業に与える影響も深刻になっている。当初は中国の生産拠点から材料や部品が届かなくなる「サプライチェーンの寸断」などを不安視する声が多かった。現在では、世界中の消費が停滞する「需要蒸発」による景気後退を懸念する声と共に危機感が募っている。

図1 世界中を覆う新型コロナ被害
図1 世界中を覆う新型コロナ被害
アメリカや欧州など各エリアごとの1日の新規感染者数を積み上げたグラフ。(WHOなどの資料を基に日経ものづくりが作成)
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 その原因は、新型コロナ流行の世界的な拡大だ(図1)。武漢市で最初の感染者と思われる肺炎患者が見つかったのは2019年12月。2020年1月一杯は中国内だけの問題に見えた新型コロナだったが、その後世界中に飛び火。3月に入り中国での流行が収まり始めるのと入れ替わるように、欧州や米国、そして世界中で被害が拡大した。

 世界で初めて新型コロナ感染者の死者数が1万人を超えたのはイタリアだ。3月にはイタリアやスペイン、フランスの各政府が全土に外出制限を発令するに至った。しかし、なんと言っても新型コロナの被害が大きいのは米国だ。2020年5月18日時点の感染者数は約142万2000人で世界最多。新興国でも新型コロナは猛威を振るっている。中でもブラジルは感染者数が24万人を超える。インドは約9万人との感染者数を記録。アフリカでも5月14日には全54カ国で感染が確認されるなど、新型コロナからの逃げ場はもはやどこにもない。

 拡大と同様に問題なのは、仮に「収束」しても「終息」が見えない点だ。1度は感染が収まり、4月8日には封鎖を解除した中国・武漢市には、感染第2波が訪れているとの報道もある。感染者数が約1万6000人と他国に比べると少ない日本では、5月中に政府の「緊急事態宣言」が解除されそうだが、「ここで油断すると秋以降に第2波が訪れる」との見方は根強い。新型コロナ流行の「先を見通せない状況」は、世界の経済界が最も懸念する問題点だ。