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 「開発に遅延が生じ、新車投入計画が遅れるケースが若干ある」。トヨタ自動車が2020年3月期決算発表の席で明らかにした(図1。新型コロナの拡大防止対策として在宅勤務を中心とした開発設計のリモートワークをかなり進めたものの、開発遅延が一部で生じているというのだ。

図1 2020年3月期決算発表に臨んだトヨタ自動車社長の豊田章男氏
図1 2020年3月期決算発表に臨んだトヨタ自動車社長の豊田章男氏
新車投入計画が遅れることを同社は明かした。開発設計のリモートワークを急速に進めたが、開発に遅延が生じている。同氏は新型コロナ対策では「やめること」と「やり方を変えること」、「やり続けること」の3つの見極めが大切だと語った。(出所:トヨタ自動車)
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* 2020年5月12日にビデオカンファレンスの形で開催された。

 開発設計部門のリモートワークの割合は、大手企業では既に「7、8割ほど」(ダイキン工業社長兼CEOの十河政則氏)に達している(5月19日執筆時点)。一方で、中小企業ではシステムの未整備などを背景にリモートワークの割合が依然低いところが目立つ。

 いずれにせよ、リモートワークには規模の大小を問わず製造業の多くが手を焼いている。日経ものづくりが実施したアンケートでは、開発・設計面で新型コロナの影響を受けているという回答が69.6%に達した(図2)。

図2 約7割が開発・設計に新型コロナの「影響が出ている」
図2 約7割が開発・設計に新型コロナの「影響が出ている」
所属する企業・組織が開発設計面で新型コロナの影響が出ているかどうかを聞いた質問に対する回答。ニュース配信サービス「日経ものづくりNEWS」の読者を対象に、アンケート用URLを告知した上で回答を依頼。2020年5月11~13日に実施し、296の回答を得た。(出所:日経ものづくり)
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 非対面での仕事を強いられる開発設計のリモートワークは当面、「効率低下は覚悟の上で進める」(オムロン執行役員副社長・インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー社長の宮永裕氏)必要がある。従来通りのやり方は不可能なので、全ての業務を新型コロナ発生前に立てた計画通りにこなすことは難しい。実際、トヨタ自動車では新型コロナ騒動を機に、「やめることと、やり方を変えること、そしてやり(守り)続けることを見極める」(同社社長の豊田章男氏)という。