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 もともと日本は少子高齢化で省人化が待ったなしの状況だったが、これがますます加速する。新型コロナは、高齢化に加えてパンデミック(世界的大流行)のようなリスクを考えた新しい自動化を目指す1つの契機となるだろう。

みやなが・ゆたか:1985年4月、立石電機(現オムロン)入社。2004年インダストリアルオートメーションビジネスカンパニーセンシング機器統轄事業部アプリセンサ事業部長に就任。グループ戦略室 経営戦略部長を経て2010年6月に執行役員。グローバル戦略本部長を経て2013年4月に執行役員常務、2014年3月にインダストリアルオートメーションビジネスカンパニー社長、2014年4月に執行役員専務に就任。2017年4月から現職。 写真は2020年1月の記者会見で発表する宮永氏。(出所:オムロン)
みやなが・ゆたか:1985年4月、立石電機(現オムロン)入社。2004年インダストリアルオートメーションビジネスカンパニーセンシング機器統轄事業部アプリセンサ事業部長に就任。グループ戦略室 経営戦略部長を経て2010年6月に執行役員。グローバル戦略本部長を経て2013年4月に執行役員常務、2014年3月にインダストリアルオートメーションビジネスカンパニー社長、2014年4月に執行役員専務に就任。2017年4月から現職。 写真は2020年1月の記者会見で発表する宮永氏。(出所:オムロン)

 ただし、これまでの自動化・省人化のニーズとは少し異なる。生産ラインの作業者を全面的にロボットや自動機に置き換えるとコストがかかる上に、対応できる作業が硬直化してしまう。今後求められるのは、人の柔軟性の良さと機械による効率化の良さを合わせた省人化・自動化だ。当社の制御機器事業の「i-Automation!」で掲げているような、人と機械が協調して働く自動化・省人化が今後重要となるとみている。実際、顧客の現場からもそういった相談が寄せられている。

* i-Automation!は、「制御進化(integrated)」「知能化(intelligent)」「人と機械の新しい協調(interactive)」の3つの“i”から成る。

 ロボットの導入・適用も、従来の溶接ロボットなどの単一作業をこなすものから、組み立て作業などにシフトしてきている。組み立てをロボットにさせるのは技術的には難しいが、AI(人工知能)や新しい制御技術を交えながら進化していくだろう。オムロンとしても、投資対効果を見極めつつ、顧客や自社の生産現場での最適な自動化バランスを探っているところだ。

リモートなら世界のプロが集える

 時間と距離の壁を越えてつながるリモートワークは、働き方の改革や価値訴求の変革の大きな可能性を秘めている。人の移動が限られる中で、これまではあくまで可能性として唱えられてきたものを実際に試す機会にもなっている。

 例えば、リモートでなら世界に散らばっているプロフェッショナルが集まり、その英知を集結させるのも容易だ。ベテランによるAR/VR(拡張現実/仮想現実)を駆使した技能教育といったものも間違いなく進むだろう。工場見学やショールームへの来訪をオンラインで模擬するのも検討していきたい。

 生産現場についても、リスクマネジメント的観点から省人化や分散化を進める上でリモートワークは大きな流れと言える。例えば、稼働データの吸い上げや分析、現場へのフィードバックなどはリモートでもできる。

 実際、オムロンの国内工場などでは作業者を減らし、スタッフ業務には在宅勤務も取り入れている。例えば、5人の作業者の間に1台ロボットを入れるなど、密にならない工夫をしながら自動化を進めている。ライン同士の間隔も開けて稼働するといった工夫で現場の感染リスクを下げている。生産技術や設備保全ならリモートで設備を監視・チェックしたり、シミュレーションで確認したりといったことも可能だ。もともと現場にはそうした要望があった。これを機に実践が加速するのではないか。

 研究開発・製品開発の現場でも、現在(2020年5月上旬)原則的に在宅勤務で仕事を進めている。ソフトウエア開発が多いため、リモートワークとの相性はいいが、それでも試作や実機を使った調整となると現場に行かざるを得ず、全てをリモートで進めるのは難しい。

 実は、かねてリモートワークの制度はあったが、普及率は低かった。新型コロナは、働き方、仕事の進め方の大きな変革につながるだろう。

 特にリモートワークにおいて鍵となるのが、チームで仕事をするためのプロジェクト管理だろう。そのため、こまめにコミュニケーションを取るよう心掛けている。リモートワークの場合、自宅で1人で頭を悩ませている場合もあり得る。それは結局、品質や納期に影響する。オンラインのミーティングツールなどを利用して課題を共有しながら、むしろ従来以上にマネジメント層が部下に寄り添うようにと言っている。スムーズかつ濃密なコミュニケーションが重要だ。