全4446文字
PR

ふくおかフィナンシャルグループが異例のプロジェクトに挑んでいる。クラウドを前提に、新銀行の勘定系システムをゼロから構築する。新商品・サービスを素早く投入できる柔軟性が高い仕組みを整備する。

 「現代の銀行はシステムが競争力そのものだ」。ふくおかフィナンシャルグループ(FG)の横田浩二取締役執行役員は、こう力を込める。ここで言うシステムは、AI(人工知能)融資などFinTech領域だけを指すのではない。「黒子」として銀行を何十年も支えてきた勘定系システムも含む。

 今、勘定系システムは1980年代後半の第3次オンラインシステム(3次オン)が稼働して以来の大変革期を迎えている。ネット業界などで実績を重ねるマイクロサービスやパブリッククラウドなどの最新ITが勘定系システムの領域にも浸透し始めた。

 ネット企業など異業種との激しい戦いにさらされている業態では、新商品・サービスの投入スピードを引き上げるために、機能を細分化し、必要ならばすぐに変更できる「疎結合」のアーキテクチャーが標準的になっている。その実現手段がマイクロサービスである。利用者の処理負荷に応じてシステムリソースや性能を柔軟に増減できるパブリッククラウドも不可欠だ。

図 新旧勘定系システムの比較
図 新旧勘定系システムの比較
アーキテクチャーなどが様変わりする
[画像のクリックで拡大表示]

 こうした業態のシステムと対極にあるのが従来の勘定系システムだ。機能同士が複雑に絡み合う「密結合」のシステムをメインフレーム上に構築しており、新機能を追加しようにも影響分析に時間がかかる。システム開発はIT企業主導で、しかも各工程の作業を終えてから次の工程に移行する「ウオーターフォール型」で進めるため、要件の柔軟な入れ替えも難しい。

 「他社に依存してウオーターフォール型でやっていると、何かを変えようとしても、すぐに1~2年かかってしまう」(横田取締役)。重厚長大な勘定系システムが銀行のデジタルトランスフォーメーション(DX)の足かせになっているわけだ。

 こうした現状を打破するために動き出した銀行の1つが、ふくおかFGだ。2020年度中の開業を目指すデジタル専業銀行「みんなの銀行」向けに、マイクロサービスを採用した勘定系システムをゼロから構築している。福岡の地で、これまでの勘定系システムの常識を覆すプロジェクトが進む。

 ふくおかFGはスマートフォンであらゆる手続きが完了するデジタル専業銀行を2017年から検討していた。その実現に向け、アクセンチュアと包括提携し、2019年春にシステム開発子会社のゼロバンク・デザインファクトリー(ZDF)を設立した。