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 AI(人工知能)を使って新型コロナウイルス対策につなげる取り組みは米国でも広がっている。

 2020年3月16日、米アレン人工知能研究所などは新型コロナの発見や予防、治療法などに関する各国の論文や研究データおよびメタデータのデータセットを収載する無料のデータベース「CORD-19(COVID-19 Open Research Dataset)」を発表した。世界のAIコミュニティーがCORD-19内のデータセットをテキストマイニングできるようにすることで、新型コロナの治療法の確立や、薬・ワクチンの開発につなげる狙いがある。

 米科学技術政策局の要請に応じたもので、米Facebook(フェイスブック)のマーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)と妻のプリシラ・チャン氏が設立した慈善団体「チャン・ザッカーバーグ・イニシアチブ」や米Microsoft(マイクロソフト)なども協力している。CORD-19に収載されている学術論文は当初2万4000件程度だったが、7月時点で8倍以上の19万9000件を超える。

 米政府はCORD-19を使ってAI研究者が開発したマイニングツールや得た知見を、米Google(グーグル)傘下で世界のAI技術者が腕を競うコンテストプラットフォーム「Kaggle(カグル)」のプラットフォームに提出することを求めている。

新型コロナで一段と医療セクターにコミット

 こうしたなか、米Amazon Web Services(アマゾン・ウエブ・サービス、AWS)は2020年4月20日、CORD-19のデータセットを活用して、研究者や科学者が新型コロナに関する研究論文を自然言語で検索できるサービス「CORD-19 Search」をリリースした。検索窓に「新型コロナウイルスの症状は?」「新型コロナウイルスの起源は?」などと英語で入力すると、関連する論文が表示される仕組みである。

 CORD-19 Searchはリリース後7週間で、76を超える国から5500件以上のユニークな検索があったという。日本の研究者も利用しており、日本からは新型コロナの起源や症状などの一般的な質問のほか、米国や韓国などの新型コロナの状況に関する質問が多数寄せられた。

研究者が新型コロナに関する研究論文を自然言語で検索できるサービス「CORD-19 Search」
研究者が新型コロナに関する研究論文を自然言語で検索できるサービス「CORD-19 Search」
(出所:米Amazon Web Services)
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 AWSは、2020年3月中旬に米政府がテック企業を集めて開いた、AIを使って新型コロナにどう対処するかをテーマにしたラウンドテーブルに参加。その後、約1カ月でCORD-19 Searchを開発した。

 「新型コロナが流行する前から、AWSにとって製薬会社などのヘルスケア・生命科学セクターと仕事をするのは普通のことだった。彼らがビジネスを俊敏にしたり、他の企業との協業を改善したりするのを助けてきた」。AWSで機械学習とAIのゼネラルマネジャーを務めるバシ・フィロミン氏は、1カ月という短期でサービスをリリースできた背景の一端をこう話す。

 「最も重要なこととして、彼らが新しい技術やイノベーションを組み込むことをAWSはより簡単にする。新型コロナが大流行して以降、AWSはより深くこのことにコミットしている」(フィロミン氏)。