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 デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)時代の情報システムには、「アジリティー、スピード」「データ活用」が求められる。では、この2つの要素を自社の情報システムに落とし込むにはどうしたらいいか。今回は、そのために必要なデジタルアーキテクチャー構想のプロセスを解説する。

 「アジリティー、スピード」の実現には、特性が異なる複数のシステムを疎結合にすることが重要だ。従来の業務システムを中心とした「コーポレートIT」の領域では、品質・安定性が重視され、改修スピードはそこまで求められない。一方、顧客(一般消費者)が利用するサービス中心の「ビジネスIT」の領域では、市場の変化に迅速に対応しなければならない。DXを進める際には、「コーポレートIT」と「ビジネスIT」のように異なるタイプのシステム間の連携が求められる(コーポレートIT、ビジネスITについては本特集シリーズの過去記事を参照)。

 複数のシステムを相互に疎結合に保ちつつ連携させるには、新たに「APIゲートウエイ」などシステム間連携を担う層を設けるとよい。こうすれば、あるシステムを改修した際の変更点をAPIゲートウエイが吸収してくれるため、他システムへの影響が少なくなる。システム変更に伴う調査や対応待ちの時間を節約し、アジリティーとスピードを実現できる。

 「データ活用」の実現には、システムが1つずつ個別対応するのでは不十分だ。全社横断でデータを活用できる仕組みが必要となる。「コーポレートIT」「ビジネスIT」双方で発生したデータを収集し、経営判断に有益な分析結果を得られるデータ活用基盤を備えておきたい。このデータ活用基盤には、ビジネス上の意思決定を支援する機能もあるとよいだろう。

 業種によっては、あらゆるモノをネットワークでつなげ、膨大なデータを収集・蓄積するIoT(インターネット・オブ・シングズ)プラットフォームも必要となる。その際、企業内には全社で共有してよいデータとそうではないデータが存在するため、データに対するアクセス統制が必須だ。

「アジリティー、スピード」「データ活用」の実現に必要なITアーキテクチャー上のポイント
「アジリティー、スピード」「データ活用」の実現に必要なITアーキテクチャー上のポイント
(出所:野村総合研究所)
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