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 デジタルアーキテクチャー構想を進めるに当たり、現行システムを無視した検討は意味をなさない。新しいITアーキテクチャーを一部システムに適用しつつ、古いシステムとも共存して業務を継続しながら、徐々にシステム全体をデジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)時代に適した形に進化させる必要がある。

 今回はこうした既存システムとの共存を実現するため、デジタルアーキテクチャー構想時から注意すべきポイント3点を見ていこう。もちろん業種によってシステムの特性は異なるので、ここで紹介するポイントが必ずしも全業界に適用できるわけではない。ただ、この3点は比較的、幅広く一般に有効と筆者は考える。

〔1〕システムの一括切り替えを避ける

 大規模なシステムの一括切り替え(ビッグバン)をしなくて済むように、新しいデジタルアーキテクチャー構想には小規模かつ段階的な切り替えが可能な仕組みを盛り込んでおこう。

 長期間稼働している既存システムは、改修を重ねて大規模かつ複雑になっていることが多い。こうした古い大規模システムの一括切り替えはリスクが高く、トラブルが起こりがちでコントロールが難しい。そこで新しいアーキテクチャーでは、規模の大きいシステム向けにシステム間連携を担うゲートウエイを用意する。システム間通信をゲートウエイ経由に切り替えてから、古いシステムを部分ごとに、徐々に切り替えできるようにするのだ。

 システム間通信をゲートウエイに集約すれば、古いシステム内部の詳細な作りは外部に公開しないで済む。システム間連携を担うゲートウエイのインターフェース仕様が変わらない限り、連携先は古いシステムを気にする必要がない。こうすれば、古いシステムの切り替え時の影響を最小限に抑えられる。この手の段階的なシステム切り替え方式は「Stranglerパターン」と呼ばれ、広く用いられている。

ゲートウエイを使った段階的なシステム切り替え方式「Stranglerパターン」
ゲートウエイを使った段階的なシステム切り替え方式「Stranglerパターン」
(出所:野村総合研究所)
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