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 DX(Digital Transformation)を実行するには、情報システムとそのアーキテクチャーだけでなく、システムを動かす人々も重要だ。今回は、DXに必要な人材(デジタル人材)とはどんな人々なのかを見ていこう。

 デジタル人材は、簡単に確保できるものではない。例えば経済産業省は「平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備」(IT人材等育成支援のための調査分析事業)で2025年に約36.4万人の先端IT人材が不足すると推計している(生産性上昇率を0.7%、IT需要の伸びを「中位」と仮定した試算)。

 日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)と野村総合研究所が共同で実施した「デジタル化の取り組みに関する調査2020」では、デジタル人材を具体的に採用・育成している企業は約3割にとどまるものの、計画策定中までを含めると7割を超える。また同調査において、「外部のサポートを受けつつもデジタル人材を自社内で育成する」と考える企業の割合は8割を超えていた。

 こうした調査からはデジタル人材不足の時代にあって、企業が人材育成・獲得の枠組みを急ピッチで整備している様子が分かる。そこで本記事では、デジタル人材の育成・獲得方法についても詳しく紹介する。

組織機能ごとに必要な人材を定義

 デジタル人材の育成・確保に当たっては、まず自社の戦略に沿って必要な人材を定義することから始めるとよい。以下の図にまとめた「デジタル化の推進に必要な組織機能」を参照しつつ、必要な人材を考えていこう。

DXのための組織機能ごとに必要な人材
DXのための組織機能ごとに必要な人材
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 まず「デジタルビジョン構想」領域を担うのが、他社のビジネスモデルなどを調査し戦略を策定する「ITストラテジスト」である。

 「デジタル事業創発」領域を担うのは、デジタル技術を活用してデジタルサービスを創出する「ビジネスプロデューサー」や「プロダクトマネージャー」などだ。

 「既存事業のデジタル化」領域を担うのが、システム化構想・計画からシステム開発・保守・運用を行う「プロジェクトマネージャー」「アプリケーションエンジニア」などである。

 「デジタルアーキテクチャー・デザイン」領域を担うのが、システム全体の構造をデザインする「ITアーキテクト」である。「SREエンジニア」や「フルスタックエンジニア」も部分的にデジタルアーキテクチャー・デザイン領域を担う。