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 「もっとロジカルに説明してほしい」。ビジネスの現場でよくある指摘です。では「ロジカルに説明する」とはどんなことか具体的にイメージが湧くでしょうか。それが分からなければ、いくらロジカルにしようとしてもうまくいきません。

 まずは、あなたがロジカルに会話をしているのかそうではないのかを、次の質問で判断してみましょう。ポイントを分かりやすくするため、あえて極端な例にしています。

 テーブルの上にコップが置いてあります。そのコップには何か入っているようです。あなたは、コップを指さした上司から質問されます。

(出所:PIXTA)
(出所:PIXTA)
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上司からの質問:「これは、白い液体ですか?」

 これに対して、あなたは次のどちらの回答をしますか。

回答1:「はい、それは白い液体です」
回答2:「それは牛乳です」

 回答2は、ロジカルな答えではありません。回答1はロジカルに考えていることが体に染みついている人の答えです。コンサルは基本的に、回答1のように答えます。

 回答2を選ぶ人も多くいるはずです。良かれと思って、より細かく具体的な情報を含んでいる回答2を選ぶのです。テーブルの上に牛乳パックも置いてありますし、恐らくコップの中の液体は牛乳でしょう。

 しかしロジカル思考に慣れた人は、回答1を選びます。ロジカルに会話をするためには回答1が優れているといえます。それはなぜでしょうか。

クローズ質問には、はい・いいえで答える

 まず今回の質問は、はい・いいえで答えられる「クローズ質問」です。それにもかかわらず回答2では、はい・いいえで答えていません。「これは何ですか」などと尋ねる「オープン質問」をされたかのように、はい・いいえの回答を飛ばして「牛乳です」と答えています。

 普段の仕事の会話でも、何か尋ねられたら、はい・いいえで答えず長々と前置きを説明したり、いきなり自分の考えを話し始めたりする人がいます。これは望ましい会話とはいえません。

 今回の例の場合、質問者はあくまで「白い液体か」を知りたかっただけかもしれません。食材で絵を描こうとして白い液体を探していただけで、それが牛乳であろうとなかろうと関係なかったかもしれません。または、色別に飲み物をきれいに配置するために色を明らかにしたかっただけで、それが牛乳だろうと乳酸菌飲料だろうと、豆乳だろうとどうでもよかったかもしれないのです。

 それなのに、白い液体かどうかには答えず「牛乳です」と回答すると、質問者にしてみれば欲しい情報が得られません。その結果、イラッとさせてしまうこともあります。

 それに、牛乳が白いとは限りません。コーヒー牛乳やフルーツ牛乳など白くない牛乳も存在します。多くの人は「牛乳=白」と思っているでしょうが、それはある種の先入観です。牛乳と聞いて、白以外の色を連想する人がいないとは限らないのです。ですから「牛乳です」と答えたからといって、質問者が知りたかった「液体の色は何か」に答えていることにはならないのです。