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 カインズが矢継ぎ早のデジタル施策を実現できている秘訣は、同社が真っ先に手掛けた「組織づくり」にある。2019年1月、デジタル戦略を推進する新たな組織「デジタル戦略本部」を設立。同年7月には日本オラクルや米マイクロソフトを経てベンチャー企業の社長などを務めた池照直樹氏を本部長に招いた。

 2020年1月には東京・表参道にデジタル戦略本部用の拠点「CAINZ INNOVATION HUB(カインズイノベーションハブ)」を立ち上げた。都心の一等地に拠点を設けることで、外部から優秀なITエンジニアを集めやすくした。

東京・表参道に設けたデジタル戦略本部用の拠点「CAINZ INNOVATION HUB」
東京・表参道に設けたデジタル戦略本部用の拠点「CAINZ INNOVATION HUB」
1階にはカインズが運営するカフェが入る
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 中途採用でデジタル人材を雇用するために別会社も設立し、エンジニアの働き方に合った勤務体系や給与水準を用意した。池照氏は「経営陣が本気でデジタル組織を作りあげようとヒト・モノ・カネを充ててくれていることが、外部から人材を集めるのに大きく貢献している」と話す。以前のカインズはEC担当が10人程度しかいなかったが、デジタル戦略本部を立ち上げた後に30人のデジタル人材を中途採用したほか、ベイシアグループ各社のITを支援するベイシア流通技術研究所などからも人材を集約。社内異動も含めてデジタル戦略本部は100人超の組織となった。

デジタル戦略本部の様子
デジタル戦略本部の様子
別会社を設立し、エンジニアの働き方に合った勤務体系や給与水準を用意した
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 「アジャイル開発でITシステムを内製できる組織」。池照氏はデジタル戦略本部の将来像をこう表現する。「自社のエンジニアだけでスピーディーに開発を回せる組織」が目標だ。「外部に開発を委託するとどうしてもコミュニケーションに時間がかかってしまう。従来はベンダーに開発を依存しており、簡単なシステム開発でも要件定義だけで半年かかる状態だった」(池照氏)。自社で開発できる人材を抱えてベンダー依存から脱却し、内製化を進める狙いだ。