全2219文字
PR

 九州の大手私鉄、西日本鉄道が展開するバス事業である西鉄バス(にしてつバス)は新型コロナウイルス感染拡大を受け、2020年5月11日から福岡市中心部を走るバス車内の混雑状況を配信するサービスを始めた。交通系ICカードの利用履歴データを用いて、おおよその乗車人数と混雑度を算出する。

 西鉄グループの公式ホームページ内で路線や目的地の方面ごとに、朝の通勤ラッシュ時間帯の30分ごとの混雑状況を4段階で配信する。利用者の時差出勤や混雑回避を促し、利用時間帯を分散させてバス内の「密」を防ぐ狙いだ。5月21日からは公式LINEアカウント「にしてつバス」でも混雑状況を参照できるようにして、利用者の利便性を高めた。

西日本鉄道は福岡市中心部を運行するバス車内の混雑状況を配信するサービスを始めた
西日本鉄道は福岡市中心部を運行するバス車内の混雑状況を配信するサービスを始めた
出所:西日本鉄道
[画像のクリックで拡大表示]

乗客の「混雑」の感覚に変化

 「新型コロナ感染拡大前である前年同期に比べ、緊急事態宣言下では全体の乗客数が4割程度まで落ち込んだ。だが、緊急事態宣言解除後の6月時点では7割ほどまで戻ってきている」と西日本鉄道自動車事業本部未来モビリティ部IC・コネクティッド課の甲斐雅人氏は話す。朝の通勤ラッシュでは、乗客が座れなくなるほど混雑する時間帯も出てきているという。

 加えて、「新型コロナ感染拡大の前後で、乗客の混雑に対する感覚が変わったと感じる」と甲斐氏は話す。以前であれば席に座れなかったとしてもバスに乗ってきていた人たちの一部が、新型コロナ感染を恐れて公共交通の利用を避けるようになったという。バスの利用者数減少を受け、5月7日から15日までは平日も土曜ダイヤで運行するほどだった。「席に座れても隣り合わせにはなりたくないという乗客もいる」(甲斐氏)。

 こうした状況を考慮し、乗客が「密」の時間帯を避け安心して時差出勤できるように、混雑状況を配信する新サービスを始めた。対象エリアは福岡市東部地区や西部地区などで、天神・博多駅方面に向かうバスなどの主要バス停ごとに30分区切りで混雑度を表示する。毎週木曜日に情報を更新し、同じ週の月曜日の時間帯や路線ごとの混雑状況を確認できる。

 乗客数に応じて「混雑している」「やや混雑している」「やや空いている」「空いている」の4段階に赤や青で色分けする。「混雑している」は乗客が30人以上の状態を指し、「乗客が座れなくなるくらい」(甲斐氏)だという。乗客個々人によっても混雑の感じ方は違うため、試行錯誤しながら混雑状況の表示方法を決めた。

西日本鉄道の西鉄バスは公式ホームページでエリアや路線、時間帯ごとに混雑状況を表示している
西日本鉄道の西鉄バスは公式ホームページでエリアや路線、時間帯ごとに混雑状況を表示している
(出所:西日本鉄道)
[画像のクリックで拡大表示]