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 関東を中心にスーパーマーケットを展開するマルエツは2020年6月1日、店舗内の混雑の傾向をアプリや公式ホームページで配信するサービスをTポイント・ジャパン(東京・渋谷)と共同で始めた。マルエツやマルエツプチ、リンコスなど301店舗について、店舗や曜日、1時間ごとの混雑状況の目安をグラフで表示する。マルエツの買い物客の8割が使うというポイントカード「Tカード」の利用履歴を基に混雑状況の目安を算出する。

マルエツプチ飯田橋店の時間帯別の混雑状況目安のグラフ。正午や午後6時に買い物客が多い
マルエツプチ飯田橋店の時間帯別の混雑状況目安のグラフ。正午や午後6時に買い物客が多い
出所:マルエツ
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 「緊急事態宣言前後は、平常時よりもスーパーが混雑していた」とマルエツの村中隆執行役員マーケティング本部販売促進部長は話す。外出自粛や在宅勤務、学校の休校などで、家にいる時間が増え、結果として食事の回数や食材の購入も増えたためだという。飲食店などが休業していたため自炊が増えた影響もある。買い物客1人当たり購入額は1.2倍ほどになったという。報道などを見て「緊急事態宣言が出るのではないか」というタイミングで、人が一気にスーパーに押し寄せることもあった。

コロナ禍では入場制限も

 購入量が増えたため買い物客1人当たりにかかる会計の時間は長くなる。レジ待ちの行列もソーシャルディスタンスを保つために距離を確保する必要があり、広い店であっても店内がすぐに買い物客であふれてしまう。「店舗や時間帯によっては入場制限をかける必要があった」(村中執行役員)

 店としては入場制限をかけるのは人手がかかり負担になる。また、店が混雑していると買い物客からクレームが入ることもあり、そのための対応が必要になる。

 このような状況の中、Tカード利用履歴データの活用についてTポイント・ジャパンから、5月10日に「混雑傾向を可視化してはどうか」との提案を受けた。買い物客の「混雑を避けて買い物がしたい」というニーズも踏まえ、急ピッチで同サービスの準備を進めた。

 狙いは混雑傾向を配信して利用時間帯を分散してもらい、店内を「密」にしないことだ。混雑傾向のグラフを見て、空いている傾向にある時間帯の利用を促す。時差出勤やテレワークの普及で、利用者は必ずしも休みの日や会社帰りの時間帯に買い物をしなくてもよくなり、スーパーに行く時間帯を選べるようになったこともこのサービスが成り立つ背景にある。

 新サービスの仕組みは次の通りだ。買い物客がレジでTカードを提示して店員がスキャンすると、利用履歴がTポイント・ジャパンのサーバーに送られる。Tポイント・ジャパンに混雑状況のグラフを作成してもらい、マルエツはそれを公式ホームページやアプリで配信する。時間帯別混雑傾向は現在のものではなく、前週の同じ曜日のTカード利用履歴データから算出する。

 混雑傾向の算出はTポイント・ジャパンに依頼する。「マルエツもPOS(販売時点情報管理)から利用客の数を把握はできるが、データのアウトプットの専門家ではない」と考えたためだ。データ活用に強みを持つTポイント・ジャパンに任せることにした。

マルエツの村中隆執行役員マーケティング本部販売促進部長
マルエツの村中隆執行役員マーケティング本部販売促進部長
撮影:日経クロステック
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