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 ニューノーマル時代を生き抜くために、自分たちは何をすべきか。新型コロナウイルス感染拡大以降の社会の激変ぶりを目の当たりにしながら、多くのビジネスパーソンが不安や迷いを抱えていることでしょう。

 そんな方々にお薦めしたい記事があります。経営共創基盤(IGPI)共同経営者兼IGPIグループ会長の冨山和彦氏と、ビービット代表取締役の遠藤直紀氏による対談です。

 企業変革のスペシャリストとして知られる冨山氏と、書籍『アフターデジタル』『アフターデジタル2 UXと自由』(いずれも日経BP)の2冊に筆者としてかかわる藤井保文氏が務めるビービット代表の遠藤氏。この2人の対話が面白くないはずがない――。そう考えて対談を実現したところ、想像以上にエキサイティングなものになりました。

 今の日本企業は何ができていないのか、これから何をすべきなのか。2人の会話は示唆に富んでいます。対談のエッセンスをお届けします(対談のモデレーターは、日経BP技術メディア局長補佐の中村建助)。


DX、デジタルトラスフォーメーションが注目を集めています。冨山さんは『コーポレート・トランスフォーメーション 日本の会社をつくり変える』、遠藤さんが社長を務められるビービットの藤井保文さんが『アフターデジタル2 UXと自由』という、まさにこのテーマに正面から迫った2冊を執筆されました(アフターデジタルは尾原和啓氏との共著)。今日は、これらの本で伝えたかった内容からDXの本質に迫りたいと思います。

冨山:新型コロナウイルス感染症の拡大で、日本も世界も経済危機に直面しつつあります。実は日本の経済が危機的状況になったのは「久しぶり」のことです。

 過去10年間を振り返ると、日本は企業の倒産件数が低水準で推移していました。リーマン・ショックも影響を受けない業種は意外に多くあったのです。今回は違います。

 全業種が打撃を受け、企業がどうやって生き延びるかを必死に模索している。言い方を変えれば、「どの企業も生き延びる方法を忘れてしまっている」と強く感じました。そこでコーポレート・トランスフォーメーション(CX)、つまり会社をつくり変えることをテーマに、その方法を書いて伝えようと思い立ちました。かなり急いだので、執筆に当たっては無理をしましたが。

 もう一つ言うなら、30年前から世界ではデジタルトランスフォーメーション(DX)が起こっていたのに、日本の企業の多くは的確に対応できず、残念ながら世界の経済から離されてしまった。これは危機的な状況である半面、新たに改革を始めるチャンスでもあります。これも伝えたかった。

 多くの企業を見ていると、やっと本気で「会社の形」を変えないと、DXの波に乗れないことが分かってきたように感じます。小手先でITを導入すればDXを推進できるのではないことも明確になってきましたね。

 DXの波に乗るとは、産業構造の大変革に対応するということ。スポーツでいえば、種目が野球からサッカーに変わるようなものです。どんなに身体能力が優れていても野球選手を集めた野球チームのままで、サッカーの欧州チャンピオンズリーグを勝ち抜くことはできないでしょう。身体能力の高いプロ野球選手が半年、1年練習すれば一般人よりは上手になるでしょうが、向こう側に立っているのはクリスティアーノ・ロナウドやメッシです。

経営共創基盤(IGPI)共同経営者兼IGPIグループ会長の冨山和彦氏(写真提供:ビービット、以下同じ)
経営共創基盤(IGPI)共同経営者兼IGPIグループ会長の冨山和彦氏(写真提供:ビービット、以下同じ)
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