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高内章氏が戦略立案手法「シナリオ・プランニング」を語る無料セミナー

2021年8月2日16時から、Web会議サービス「Zoom」による無料オンラインセミナーを開催します。
日経TechFind事業展望セミナー「予測困難な未来に挑む、事業戦略の立て方」

 「未来は予測できない。予測しても外れることを前提として経営計画を立てないといけない」。米Strategic Business Insights(SBI)Intelligence Evangelist, Vice Presidentの高内章氏はこう話す。

米Strategic Business Insights(SBI)Intelligence Evangelist, Vice Presidentの高内章氏
米Strategic Business Insights(SBI)Intelligence Evangelist, Vice Presidentの高内章氏
(出所:米Strategic Business Insights)
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 企業の決算時期などにもよるが、夏から秋に向けて中期経営計画や年度予算を策定するという企業は少なくないだろう。しかし、新型コロナウイルスの収束が見通せない現状では、未来を予測するのは難しく、事業への影響を算定するのも難しい。

 それでも経営企画部門や事業部門長らは、計画を策定するための前提条件を予測しようとしがちだ。予測したところで外れることも多い。1年前、東京五輪・パラリンピックの延期が決まったときに、延期した1年後のほうが感染状況が悪化していると予測できた人は少なかったのではないか。予測が難しい時勢だからこそ、高内氏の「未来は予測できない」という潔い割り切りに、筆者は興味を持った。

 SBIは米スタンフォード大学の研究所を発祥とするシンクタンク。中長期事業戦略立案のために「シナリオ・プランニング」という手法を開発・実践してきた。

3つの軸を基にシナリオ策定

 予測できないからといって、根拠もなく意思決定するのでは最悪の結果を招くことにもなりかねない。シナリオ・プランニングは、1つの未来を予測するのは不可能だということを前提として、複数のシナリオを策定し、それぞれについて事業戦略を検討する。策定したシナリオを前提として、自社の脅威や機会を「強制発想」することで、今後進むべき姿が見えてくるのだ。

 「シナリオを作る」「シナリオを読む」といった言葉は一般によく使われるが、高内氏とSBIの考え方では、シナリオを操る道筋を詳細に示しているのが興味深い。具体的には、シナリオの骨格として3つの軸を決める。

 例えば、新型コロナ禍からの復興は、社会の隅々にまで広く行き渡るのか、それとも復興の恩恵が一部の国・組織・人々にしか行き渡らないのか、予測が難しい。これを第1軸「復興の特性」とする。

 これに加えて、新型コロナに合わせて人々や組織が行動を変える意思があるかないかという観点を第2軸「社会行動の特性」、コロナ禍後の技術進化がどの程度のスピードで進むかという観点を第3軸「技術進化の特性」とする。

 この3つの軸について、「復興の特性」なら、恩恵が広く行き渡るか、偏在的にとどまるかという両極端のシナリオが考えられる。軸が3つあるので、それぞれに両極端があるとすれば、2×2×2=8通りのシナリオが考えられる。8つのうち、典型的な3つのシナリオを選んでさらに考察を加える。

 例えば3つのうちの1つとして、「復興の特性」が広く行き渡り、「社会行動の特性」が進歩的で、「技術進化の特性」が劇的、というシナリオを選ぶ。あらゆる観点で社会変革が急速に進むシナリオだ。