全2983文字
PR

 学校の性格を考慮し、木に包まれた暖かみを持たせることを目指した大学校舎である。全校生徒が集うことのできる木の大階段を校舎の中心に配置し、これに滑り台を併設。外構を含め、「遊具のような校舎」というコンセプトを展開している。

 保育者を養成するための短期大学で、東京都町田市の里山に囲まれた自然豊かな場所に立地する。創立50周年を機に分散していた校舎を1棟にまとめることを決め、新校舎を建設。2019年9月に使用を開始した。

木梁(欧州アカマツ)と木ルーバー(スギ)の並ぶ西面の外観。屋根はカラーステンレス、一部保水セラミックパネル+植栽。外壁は高耐久樹脂含浸積層材(スギ)、アルミパネル、防水形複層塗材E。外まわり建具はアルミサッシ、ステンレスサッシ、スチールサッシ(写真:川澄・小林研二写真事務所)
木梁(欧州アカマツ)と木ルーバー(スギ)の並ぶ西面の外観。屋根はカラーステンレス、一部保水セラミックパネル+植栽。外壁は高耐久樹脂含浸積層材(スギ)、アルミパネル、防水形複層塗材E。外まわり建具はアルミサッシ、ステンレスサッシ、スチールサッシ(写真:川澄・小林研二写真事務所)
[画像のクリックで拡大表示]

木に包まれる大階段と図書室

 上下足履き替えで運営する校舎のため、階段も含め全面にフローリングを敷いている。壁面に本棚や飾り棚として利用できる木ルーバーを設置するとともに、大階段のあるエントランスホールやカフェテリアなどでは木梁を現しとし、床・壁・天井が木で囲われる空間とした。

 敷地の高低差4.5mを生かした大階段は、新校舎を象徴する木の「遊具」としてデザインしたものだ。エントランスを入ってすぐ、学生たちが日常的に行き交う場所に位置する。音響・映像設備を整えているため、式典や講演会の際にはステージとして利用できる。周りを取り囲むルーバーは、スピーカーからの音を乱反射させる音響装置としても機能する。

吹き抜けの大階段のあるエントランスホール。右手に滑り台を併設している。床はフローリング(オーク)、壁は EP塗装、天井は木梁現し、不燃木シート、岩綿吸音板(写真:川澄・小林研二写真事務所)
吹き抜けの大階段のあるエントランスホール。右手に滑り台を併設している。床はフローリング(オーク)、壁は EP塗装、天井は木梁現し、不燃木シート、岩綿吸音板(写真:川澄・小林研二写真事務所)
[画像のクリックで拡大表示]

 校舎には、学校法人の運営するこども園、保育園の子どもも訪れる。大階段の脇に設けた滑り台は、その子どもたちはもちろん、在学生にも楽しんでもらえる仕掛けとなっている。

 大階段を上った先に、カフェテリア(食堂)がある。カフェテリアの外には「森のテラス」が広がり、四季折々表情を変える敷地南側の里山に向けて開かれている。大階段を挟み、カフェテリアと反対側には中廊下式の講義室が並ぶ。中廊下の先にある吹き抜け空間は大きな開口部を持ち、明かりを採り込むとともに屋外のシンボルツリーを縁取る。西側に並ぶ講義室からは階段状に下る「段々テラス」へ出ることができる。テラスから眺めると、桜並木越しに里山の風景が広がる。

断面図
断面図
[画像のクリックで拡大表示]
断面図
断面図
[画像のクリックで拡大表示]