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 キヤノンマーケティングジャパン(以下、キヤノンMJ)は、「オフィス密集アラートソリューション」の提供を2020年6月下旬から始めた。会議室や執務室に設置したネットワークカメラの映像を解析して在室人数を割り出し、あらかじめ設定した定員を超えていればアラートを発する。管理者にメールで通知することもできる。

キヤノンマーケティングジャパンの「オフィス密集アラートソリューション」。ネットワークカメラの映像を解析して人を抽出。あらかじめ設定した定員を超えるとアラートを発する(資料:キヤノンマーケティングジャパン)
キヤノンマーケティングジャパンの「オフィス密集アラートソリューション」。ネットワークカメラの映像を解析して人を抽出。あらかじめ設定した定員を超えるとアラートを発する(資料:キヤノンマーケティングジャパン)
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 映像解析ソフト「People Counter」で人を検出してカウントする。People Counterには、会議室などの比較的狭い空間から、イベント会場などの広い空間まで対応するいくつかのタイプがあり、設置条件や検出条件によって使い分けている。

 People Counterは、機械学習で生成した人体モデルとカメラの映像を照合して人体を検出する。混雑したシーンでは人体が一部しか見えないため検出が難しくなるのが課題だった。

 この課題に対応するため、深層ニューラルネットワークによって映像から人の頭を検出して人数をカウントするCrowd People Counterを開発した。人が部分的に重なっていても、人として検出できる。深層ニューラルネットワークとは、深層学習(ディープラーニング)の一種だ。

 人数をカウントする機能は、オフィスのフリースペースや打ち合わせスペースがどのくらい活用されているかを確認するために用いられていた。いわば、執務室が効率良く使われているかを確認する技術だ。

 特殊なケースとしては、個人情報などのセキュリティーレベルの高い情報を扱う業務を複数人で実施していることを確認するために用いていた。この他、大規模なイベントで参加者が集中しているエリアを検出して、警備員を効率的に配置するために活用することもあった。こうした限定的なニーズに対応する技術だった。

 そのニーズが新型コロナの影響で一変。「顧客層が一気に広がった」(同社広報部パブリックリレーションズグループの高梨弘毅チーフ)。オフィス内の「密」を検出したいというニーズは、多くのオフィスが抱える課題となったからだ。