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 2020年5月に緊急事態宣言が解除され、すぐに多くのベンチャー企業はオフィスの縮小に動き出した。日経クロステックは、オフィスに関する変革の様子を書籍『さよならオフィス』としてまとめ、10月9日に発売する。いち早くビルオーナーに解約通知を出した企業は、今どんな働き方をしているのか。「さよならオフィス、その後」の後編では、一旦は「オフィスは不要」と考えて解約通知を出した10X(東京・中央)を取り上げる。同社はその後、オフィス面積を3倍にする決断を下した。数カ月の間に何があったのか。

 2020年3月から6月までの4カ月間、完全な在宅勤務を継続した10X。ネットスーパーの垂直立ち上げを可能にする「Stailer(ステイラー)」を展開し、イトーヨーカドーネットスーパーのアプリを手掛けるなど飛ぶ鳥を落とす勢いで成長を続ける注目ベンチャーの1社である。矢本真丈代表取締役CEO(最高経営責任者)は5月末、東京・日本橋に構えていた40坪弱の本社オフィスの解約通知を届け出た。

10Xのオフィス。縮小を一度は考えたが一転して拡大移転する(写真:10X)
10Xのオフィス。縮小を一度は考えたが一転して拡大移転する(写真:10X)
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 3月からの数カ月で、テレワークの有効性を確認。足元の業務のほとんどがテレワークで可能だと分かったからだ。矢本CEOは当時の状況を日経クロステックに次のように語っていた。「オフィスに週5日行く必要性は今後も恐らく生じ得ない」

 その10Xが、3倍の床面積からなる新オフィスの賃貸借契約を結んだ。なぜなのか。

 同社は6月に完全在宅勤務の検証を終えると、新型コロナウイルスの流行状況を見定めた上で週に1度だけ社員全員でオフィスに集まる「オフィスデー」を設けた。在宅勤務で業務のほとんどはこなせたものの、矢本CEOは社内におけるコミュニケーションに課題を感じていた。

 このオフィスデーの採用で、見えてきたものがあった。