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 ビジネスにおける文字コミュニケーションは、メールやSNSなどを利用するのが主流です。メールの書き方は、新入社員研修のビジネスマナー教育に含まれるようになっています。基本的なフォーマットのほかに、相手に対して失礼がない、相手を嫌な気分にさせないメールの書き方を学習しています。

 テレワークが広がった昨今では、文章だけで考えや情報を上手に伝えるにはどうしたらよいかと悩んでいる人が増えているようです。顧客向けだけでなく社内向けメールでも、もっと分かりやすく簡潔に書きたい、相手に早く正しく伝えたいといった相談が多くなりました。

 社内では、メールではなくチャットが使われるケースも増えています。カジュアルで短い文章を書けるようになりたいというニーズも高まっています。テレワークでは、文章力が仕事の進捗を左右すると言っても過言ではないでしょう。

「が」「ので」を多用すると文章が長くなる

 まず、日本語の特徴について考えてみましょう。日本語の特徴というと、「敬語がある」「ひらがな・カタカナ・漢字など文字の種類が多い」などを思い浮かべるかもしれません。もちろんそれらも正しいのですが、分かりやすい文章を書くうえで筆者が重視しているのは「膠着語である」ことです。

 膠着語の「膠」は「にかわ」とも読み、ペタペタとくっつく接着剤を指します。膠着語は「粘着語」とも呼ばれ、助詞などの付属語を接着材のように使って名詞や動詞をつなぎ、文章を作るのが特徴です。

 助詞の中でも注意が必要なのが「が」「ので」です。「AはBをしたが、CはDだったので、Eに行ったが、FはGなので……」のように、「が」「ので」を多用すると1つの文章が長くなってしまいます。

 筆者はこれまでに5000人以上の文章を添削してきましたが、問題を抱えている文章の多くは1文が長い傾向にあります。文章が長くなると、文のねじれが起こりやすくなります。文のねじれとは次のようなものです。

横浜の元町あたりは、異国情緒が感じられ、アイスクリームや食パンを最初に発売したお店がありますが、犬のための水飲み場があり、ときどき散歩に行きます。

 「横浜の元町あたり」について説明を始めたのに、最後は「ときどき散歩に行きます」となっています。ときどき散歩に行くのは自分であり、文章の最初と最後で主語が変わってしまっているのです。これが文のねじれです。

 この文章には助詞「が」が入っています。さらに「感じられ」「あり」のように連用形で言葉を止めて文章をつないでいる箇所もあります。これは連用中止形などと呼ばれます。連用中止形を多用すると、やはり文章が長くなってしまいます。

 1文を短くするには、「が」「ので」や連用中止形の箇所で文章を切ります。そして「です」「ます」などを付けて言い切ります。必要であれば「しかし」「さて」といった接続詞を付けるとよいでしょう。接続詞がなくても意味が通じる場合は、付ける必要はありません。