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 テレワークが広がり、チャットなど短文でのコミュニケーションが増えました。筆者にも「短い文章でも感じのよいやり取りをしたい」という相談が増えてきました。

 短い文章ほど含まれている言葉が少ないので、一つ一つの言葉の重みが大きいともいえます。相手に違和感や不快感を与えないかを考えて、適切な言葉を選ぶことが大切になります。

 筆者が言葉の意味の違いを実感したのは、ある検定の勉強をしていたときです。「自社の社員を表現するとき、以下のどちらが望ましいか」という質問がありました。

  • Aさんは仕事に熱心です。
  • Aさんは仕事にひたむきです。

 「ひたむき」とは、「“1つのことに集中して”一生懸命に取り組む」ことです。「熱心」は「ある物事に深く打ち込むさま」を意味します。

 仕事では、1つのことだけに集中すると他のことが見えなくなりがちです。ですから、自社の社員を表現するときには「Aさんは仕事に熱心です」を使うのが望ましい、というのがその検定での正解でした。

 一方で、「愛する」ときは「ひたむき」が適しています。「熱心に愛する」とは表現しません。このように、同じように思える言葉にも意味の違いがあり、その違いを気にする人もいるのです。

 同じ意味を表現するのにも、言葉の選び方で相手に与える印象は変わります。「高い値段」ではなく「いいお値段」、「安物」ではなく「よい買い物」、「濃い味」は「しっかりした味」と表現できるといったことを、ビジネスマナー研修で学んだ方もいらっしゃるでしょう。特に、それほど気心が知れていない相手と短文でコミュニケーションする際は、言葉選びに気を配りましょう。

ネガティブな表現を避ける

 言葉を選ぶ際には、ネガティブな表現をできるだけ使わないようにするとよいでしょう。

 例えばあなたが商品を選んでいるとき、お店の人に「他の色はないのですか?」と質問したとします。お店の人は「他にはありません」ではなく「あいにく、この色だけになっております」のように答えるでしょう。

 電話対応でも、名指し人が不在の場合には「今いません」ではなく「席を外している」と伝えます。これも、ネガティブな表現を避ける工夫です。

 ネガティブな表現は、チャットやメールだけでなく、仕様書やマニュアルなどの技術文書でも避けたほうがよいでしょう。例えば、ユーザーが利用する操作マニュアルに「〇〇機能を利用するには、△△ツールをインストールしなくてはなりません」という文章があったとします。