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 「銀行口座からのチャージ等に際し、事実上不可欠な決済インフラの料金が硬直的であることは、銀行口座からのチャージ等に係る費用を高止まりさせることにもつながるおそれがあり、ひいては、キャッシュレス普及にとって課題となっている」。

 公正取引委員会が2020年4月21日に公表した報告書が波紋を呼んでいる。昨年来、キャッシュレス決済を巡る競争環境について調査を重ねてきた「市場の番人」は、NTTデータが運営する決済インフラ「CAFIS(キャフィス)」をターゲットの一つに据えた。冒頭の一文は、CAFISの課題について触れた報告書の一部だ。

公正取引委員会が2020年4月21日に公表した報告書
公正取引委員会が2020年4月21日に公表した報告書
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 NTTデータは2020年6月10日、CAFISの料金を見直すと発表。同年10月に値下げに踏み切る。「加盟店や消費者により理解してもらえるように価格を設定した」。NTTデータの栗原正憲カード&ペイメント事業部事業部長は、こう説明する。

 民間事業者が提供するサービスの一つにすぎないCAFISに対して、なぜ公取委は名指しで課題を指摘したのか。背景にはあるのは、決済業界における存在感の大きさだ。

 CAFISに接続するクレジットカード会社は約120社、金融機関は約200社。「国内ほぼすべてのクレジットカード会社や金融機関を結ぶ」とNTTデータはうたっている。ほかに約2000社の百貨店やショッピングセンター、約3000のEC(電子商取引)ショップが参加しており、小売店やタクシーなどが保有する接続端末は約85万台に及ぶ。

 この巨大なネットワークこそがCAFISが持つ最大の強みだ。企業同士で何らかのサービス連携をする際、新たな仕組みを個別に構築するには時間やコストがかかる。既に多くのプレーヤーが接続するインフラを活用した方が効率は良い。

 カード決済を支える共同利用型システムがCAFISの原点。現在もメインの事業だが、今やカード会社以外にも多くの銀行が接続し、QR決済サービスへの入金(チャージ)といった機能も担う。こうしたポジションを確立できた背景には、1984年の誕生以来、「多くの関係事業者が接続済み」という利点を追い風に、雪だるま式にネットワークを拡大してきた歴史がある。

コンビニATM契機に銀行との接続を果たす

 CAFIS誕生のきっかけは、「乱立するカード会社と加盟店を効率よくつなぎたい」というカード業界からの要請だった。