2020年に創業100年を迎えたマツダ。誰もが知る大企業だが、自動車メーカーとしては世界シェア2%に過ぎない「業界のスモールプレーヤー」(マツダ)である。その“小さな自動車メーカー”であるマツダが自動車業界で戦い続けるために注力しているのが「変種変量生産」と職人技を量産化する「Mass Craftsmanship」だ。商品競争力を高める多様性とボリューム効率を高める共通性を両立させるための生産技術を探った。

2020年に創業100年を迎えたマツダ。誰もが知る大企業だが、自動車メーカーとしては世界シェア2%に過ぎない「業界のスモールプレーヤー」(マツダ)である。その“小さな自動車メーカー”であるマツダが自動車業界で戦い続けるために注力しているのが「変種変量生産」と職人技を量産化する「Mass Craftsmanship」だ。商品競争力を高める多様性とボリューム効率を高める共通性を両立させるための生産技術を探った。
出典:日経ものづくり、2020年7月号 p.61 「創業100年 マツダ生産技術の底力」
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Part5 高精度加工・計測
「SKYACTIV(スカイアクティブ)-X」は、自動車エンジンにおけるマツダの技術力の高さを世界に改めて知らしめた。ガソリンを燃料としながら、量産型ガソリンエンジンで圧縮着火による希薄燃焼(後述)を世界で初めて実現した。同社がこれまで追求してきた熱効率をさらに引き上げ、燃費を従来のガソリンエンジン…
Part4 軽量・高剛性・低振動
マツダの「モノづくり革新」のベースは、開発部門と生産技術・生産部門との共創にある。その成果が最も大きく表れたものの1つが、自動車のボディーだ。同社は軽量でありながら剛性が高く、かつ低振動のボディーを造る技術を開発して実用化にこぎ着けた。
Part3 職人技の量産化
マツダの生産技術における大きなテーマが「職人技の量産化」である。同社はこれを「Mass Craftsmanship(マスクラフトマンシップ)」と呼ぶ。希少性と感動の元となる職人の手仕事と、短時間/低コスト/省エネ/高精度といった生産性の高さを実現する機械やロボット技術を高次元で融合しようという取り…
Part2 新車体生産ライン
マツダの新しい車体生産ライン「フレキシブルモジュールライン」。その特徴は他社の一歩先を行く柔軟性にある。同社はこの新ラインを2019年4月に宇品工場(広島市)の車両組み立てラインに導入。多目的スポーツ車(SUV)「CX-30」の量産を皮切りに、順次導入を広げていく計画だ。
Part1 総論
2020年に創業100年を迎えたマツダ。年間売上高3兆円を超え、従業員数も約5万人を抱える大企業だが、同社は自らを「業界のスモールプレーヤー」と表現する。実際、生産台数は年間150万台前後だが、世界市場でのシェアは2%に過ぎない。