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新型コロナ禍のテレワーク環境下で、部下とのコミュニケーションは難しくなった。ミスを指摘するときにもポイントを押さえた叱り方が不可欠だ。本特集では日経SYSTEMSの過去記事を再編集。部下との関係を悪化させない「叱り方」の極意を解説する。

 「部下の失敗を責めたら想像以上に部下が落ち込んでしまい、会社を辞めると言い出した」「後輩の怠慢を厳しく指摘したらそれ以来、顔を合わせるのを避けられるようになった」。あなたが部下や後輩を叱ったところ、こんな困った状況に陥ったことはないだろうか。あなたの職場でこんな様子を見かけたことはないだろうか。そんな時に参考にしたい、ベテラン・エンジニアの叱り方を紹介しよう。

「叱る」と「怒る」は違う

 上司(先輩)にしてみれば、叱るのは部下(後輩)のためを思ってのこと。「部下の反省や気付きを促し、成長してもらいたい」。この思いから叱るのだが、部下が想定以上のショックを受けて関係が悪くなり、「なんて打たれ弱いんだ」「もっと優しく諭せばよかったのだろうか」などと頭を抱えてしまうことが少なくない。

 こうしたときは、上司の叱り方に問題がある場合が少なくない。典型的なのが、「叱る」のではなく「怒る」になってしまうケースだ。

 ここで言う「怒る」とは、上司が感情的になって一度にいろんなダメ出しをしたり人格を否定するような言い方をしたりして、部下を必要以上に追い込むことを指す。部下は萎縮して「何が悪かったのか」「次からどうすべきか」といったことを考えられない。そればかりか、仕事に対する意欲さえなくしかねない。

「怒る」の例。感情的になって怒鳴り、部下の過去の失敗まで持ち出し、人格や存在を否定している。これでは、部下は萎縮するばかりで「何が悪かったか」「次からどうすべきか」といった反省や気付きを得られない
「怒る」の例。感情的になって怒鳴り、部下の過去の失敗まで持ち出し、人格や存在を否定している。これでは、部下は萎縮するばかりで「何が悪かったか」「次からどうすべきか」といった反省や気付きを得られない
(イラスト:牧野良幸)
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 一方の「叱る」では、上司は熱くなりすぎずポイントを絞り込んで指摘することで、部下に問題の重大性を認識させ、どうすれば同じ失敗を繰り返さないかを考えさせる。

「叱る」の例。普段と違う迫力をもって部下に接しながらも感情的になりすぎず、部下の落ち度を的確に指摘している。部下は叱られながら、「何が悪かったか」を反省し、「次からどうすべきか」を考えることができる
「叱る」の例。普段と違う迫力をもって部下に接しながらも感情的になりすぎず、部下の落ち度を的確に指摘している。部下は叱られながら、「何が悪かったか」を反省し、「次からどうすべきか」を考えることができる
(イラスト:牧野良幸)
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 つまり、「叱る」と「怒る」の根本的な違いは、上司が部下の反省や気付きを促すという目的を意識して適切な行動を取るかどうかである。

 あなたは部下に対して、叱っているだろうか。それとも、怒っているだろうか。部下が想定以上に落ち込んで反省や気付きにつながらないなら、怒っている可能性が高い。上司として、叱り方を見直す必要があるだろう。