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 インターネットを経由して遠隔地にいる相手とやりとりできるのは「ルーティング」という仕組みがあるためだ。動的に経路を決めるダイナミックルーティングでは「ルーティングプロトコル」を使って経路を決定する。代表的なプロトコルである「RIP」を題材にその仕組みをひもとこう。

 まずは、主に企業ネットワークで利用するルーティングプロトコルについて見ていこう。取り上げるのは「RIP(Routing Information Protocol)」だ。仕組みが単純なので学習用途に適している。

ディスタンスベクター型は単純

 最初にルーティングプロトコルの種類と特徴を確認しておこう。現在、主に利用されているルーティングプロトコルは「ディスタンスベクター型」「リンクステート型」「高度なディスタンスベクター型」「パスベクター型」の4つに大別できる。

ルーティングプロトコルの比較
ルーティングプロトコルの比較
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 ディスタンスベクター型はディスタンス(距離)という言葉が入っていることから分かるように、ルーター同士が宛先のネットワークまでの距離情報を交換し、経路を選ぶプロトコルだ。4つの型の中では最も歴史が古い。ディスタンスベクター型の1つであるRIPは1960年代には原型ができていたといわれている。仕様を規定する最初のRFC 1058が作られたのも1988年と古い。

 ディスタンスベクター型のプロトコルの特徴は、仕組みが単純なのでルーターにかかる負荷が低いことだ。宛先までに経由するルーターの数や宛先と接続するリンク情報といった単純な内容を隣接するルーター同士で交換して、経路を決定する。

 一方、大規模なネットワークには向かないというデメリットがある。経路情報に変更が発生した際、隣接するルーター同士が経路情報を交換するため、すべてのルーターに設定が反映されるまでに時間がかかるからだ。例えば障害が発生して経路変更が必要な場合でもすぐにルーティングテーブルに反映されない。

 また、経路情報の交換にブロードキャストを使うため、ルーターの台数が増えると無駄なトラフィックが発生するという問題もある。

大規模に向くリンクステート型

 ディスタンスベクター型よりも大規模なネットワークに向くように開発されたのがリンクステート型のプロトコルである。

 特徴はそれぞれのルーターがほかのルーターのリンク情報(接続するインターフェースの情報)を把握した上で最適な経路情報を判断することだ。障害でネットワーク構成に変更が生じても、各ルーターがネットワーク全体を把握しているのでディスタンスベクター型に比べて経路を早く切り替えられる。ただし、各ルーターにかかる負荷はディスタンスベクター型に比べると高くなる。

 ディスタンスベクター型とリンクステート型の長所を合わせたのが高度なディスタンスベクター型である。米シスコシステムズが独自開発した「IGRP(Interior Gateway Routing Protocol)」というプロトコルを進化させたもので「EIGRP(Enhanced Interior Gateway Protocol)」が該当する。

 仕組みが簡単だというディスタンスベクター型の特徴と経路変更の反映が早いというリンクステート型の特徴を併せ持つ。

超大規模で使うパスベクター型

 リンクステート型よりもさらに大規模なネットワーク向けに考えられたのがパスベクター型のプロトコルだ。主にインターネット全体のルーティングに利用する。「BGP(Border Gateway Protocol)」がパスベクター型に該当する。

 特徴は極めて多くの経路を扱えるようにするため、単純な情報の交換だけで経路を割り出す仕組みを採用していることだ。インターネット全体のルーティングを担うので各ルーターにかかる負荷を軽減している。