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自動ブレーキの対象が昼間の車両や歩行者から、夜間歩行者や交差点へと拡大している。こうした状況を受けて、自動ブレーキ用センサーの選択肢が2極化してきた。ホンダはセンサーを単眼カメラに絞り込み、自動ブレーキを交差点に対応させた。一方、トヨタ自動車や日産自動車、スバルなどはカメラとミリ波レーダーの併用を選ぶ。

 自動ブレーキの新たな競争軸は、交差点への対応である。その実現に向けて、各社のセンサーの選択肢が2極化してきた。

 他社がカメラとミリ波レーダーの2個を使うのに対して、ホンダは新型「フィット」のセンサーを単眼カメラの1個に絞りながら、自動ブレーキを交差点の右左折などに対応させた(図1)。センサーの数を減らしながら、性能を高めたことになる。

図1 新型「フィット」
図1 新型「フィット」
先代車ではミリ波レーダーと単眼カメラを使っていたが、新型車はヴァレオの単眼カメラだけを搭載し、自動ブレーキを交差点に対応させた。(撮影:日経Automotive)
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 ホンダのADAS「Honda SENSING」の主要センサーは、大きく3つの世代に分かれる。小型車の先代フィットや小型SUV(多目的スポーツ車)の現行「ヴェゼル」などに搭載されている初代のシステムは、ミリ波レーダーと単眼カメラを使う。ミリ波レーダーはデンソーテン製、単眼カメラは日本電産エレシス製である。同システムを使った自動ブレーキは、昼間の車両や歩行者に対応する。

センサーを減らしてコストを抑える

 第2世代のシステムも、ミリ波レーダーと単眼カメラを使うが、センサーのサプライヤーはドイツ・ボッシュ(Bosch)製に変更した。軽自動車の「N-BOX」から搭載が始まり、軽自動車の「N-VAN」や「N-WGN」、中型セダンの「アコード」や中型SUV(多目的スポーツ車)「CR-V」などに搭載されている。自動ブレーキは昼間の車両や歩行者に加えて、夜間の歩行者にも対応する。

 第3世代のシステムは、2020年2月に発売した小型車の新型フィットに初めて搭載した。第2世代までのシステムは、ミリ波レーダーと単眼カメラのセンサーフュージョンだったが、第3世代ではミリ波レーダーを使わず、単眼カメラだけのシステムとした。

 単眼カメラは、ボッシュ製からフランス・ヴァレオ(Valeo)製に変更した。同カメラを搭載する新型フィットの自動ブレーキは、昼間の車両や歩行者、夜間の歩行者に加えて、交差点の右左折にも対応する。右左折時に直進対向車や横断歩行者をカメラで検知し、自動でブレーキをかけて衝突回避を支援するものである。

 ホンダは、「今回の新型カメラを使うことで、従来のセンサー・フュージョン・システムと同等以上の性能を実現できるようになった」と話す。センサーを単眼カメラに集約すると、システムコストを下げやすくなる利点もある。実際に新型フィットの場合、単眼カメラ自体のコストは従来品に比べて高くなったが、ミリ波レーダーを外したことで、システムコストは従来に比べて下げられた。