7月3日からの大雨の影響で流失した球磨川に架かる道路橋の大半は、1980年代以前に完成した鋼製のトラスやランガーの形式であることが日経クロステックの調査で分かった。残された桁に流木が絡まっているなど、流量を増した河川の水圧をもろに受けたと思われる。一方、90年代以降に造られたり堤防の上を交差したりする橋は流失を免れた。
流された道路橋は、球磨川の本川に架かる10橋と支川の4橋だ。本川の橋の多くは、球磨川と並走する国道219号と県道や市道とを結んでいた。鉄道橋でも3橋が流失している。
本川では、約50kmの区間で橋の流失が相次いだ。流された10橋のうち3橋が80年代に建設され、それ以外は全て60年代以前に完成している。加えて、10橋のうち7橋が鋼製のランガーやトラスといった形式で、比較的軽い上部工だった。
下流側から見ていくと例えば、八代市にある県道17号の鋼トラスの坂本橋は54年に完成した。全長は122mで、河川中央に橋脚が立つ。堤防の天端とほぼ同じ高さに架かる桁が、水流による側圧や流木の衝突などによって流されたとみられる。
河川をまたぐ橋は一般に、水流の影響を受けないように計画高水位よりも高い位置に桁を設ける。しかし、坂本橋の2kmほど下流にある横石観測所では、7月4日正午の水位が計画高水位を1.66m超過して12.18mを記録した。
坂本橋の約6km上流に架かる鎌瀬橋も流失した。55年に完成した長さ113mの鋼ローゼ形式だ。ここでも約800m下流で溢水(いっすい)が生じるなど、高い水位となっていた。