全3037文字
PR

 「最後の“聖域”のように、社内でうちの部署だけに紙が残ってしまった。100%電子契約化を成し遂げて、会社から紙を完全になくしたい」。ヤフーの黒岩高光コーポレートグループ経営支援部部長はこう意気込む。

 ヤフーは2019年9月から電子契約の推進に取り組んでいる。2020年5月18日には「2021年3月末までに民間取引先との契約において『100%電子サイン化』を目指す」とのプレスリリースを出し、電子契約推進を対外的に宣言した。

ヤフーが取引先に電子契約対応を呼びかける「電子サイン利用のご案内」というパンフレット
ヤフーが取引先に電子契約対応を呼びかける「電子サイン利用のご案内」というパンフレット
(出所:ヤフー)
[画像のクリックで拡大表示]

 ヤフーは米DocuSign(ドキュサイン)のクラウド型電子署名ツール「DocuSign」を採用し、取引先に電子署名への対応を呼びかけている。契約1件当たりのコストは従来の紙契約で約4000円だった。電子契約では1200円程度に削減できたという。

電子化率はまだ20%

 もっとも、電子契約はヤフーだけではできず、契約の相手方である取引先に対応してもらう必要がある。2020年6月時点で、月1000件ほどの対象となる契約のうち、電子契約にできたのは20%ほどにとどまる。紙の契約書を取引先に送る際に「電子サイン利用のご案内」というパンフレットを封入するなど、懸命に電子サイン(電子署名)の利用を呼びかけているところだ。

ヤフーの黒岩高光コーポレートグループ経営支援部部長
ヤフーの黒岩高光コーポレートグループ経営支援部部長
(出所:ヤフー)
[画像のクリックで拡大表示]

 新型コロナウイルス感染拡大の影響から、ヤフー社内ではテレワークが強く推奨されている。黒岩部長もテレワークが原則だが、電子契約推進が道半ばであるため、ほぼ押印のためだけに週1回の「ハンコ出社」を余儀なくされている。緊急の契約案件があるときは急きょハンコ出社を余儀なくされることもあるという。

 「電子契約なら時間と場所にとらわれずに手続きができる。今はまだ20%だが、取引先にお願いしながら100%を目指す。新型コロナの影響で取引先の機運も高まりつつある」と黒岩部長は話す。