昨今、既存のビジネスをデジタルの力によって破壊して、デジタルビジネスで置き換える現象が広く見られるようになってきた。米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)、米Apple(アップル)、米Netflix(ネットフリックス)、米Uber Technologies(ウーバー・テクノロジーズ)などが新しいサービスを次々に打ち出し、消費者に既存サービスからの乗り換えを促す。このようなディスラプター(破壊者)の登場により、ビジネスモデルがモノ売りからサービスへシフトすることで、短期間でゲームチェンジが成される時代が到来している。
日本国内も同様に、サブスクリプションサービス、マッチングサービス、キャッシュレス決済など、デジタルの力で消費者の支持を集め、サービスを提供する事例が増加している。
このように新たなビジネスニーズが次々に生まれ、市場の変化がどんどん速まる時代に対し、企業は追従していく必要がある。サービス開発の世界でも、ユーザーの要求に迅速かつ的確に応えるサービスを提供し、他社に先んじてデジタルビジネスを確立することが求められる。しかし、そのスピードに付いていける俊敏なシステムを持っている企業はそう多くないだろう。
ウオーターフォール型開発で対応できない
従来のシステム開発では、伝統的なウオーターフォール型開発が採用されてきた。しかし一般にウオーターフォール型開発では要件定義から実装・テストまでに半年~1年程度、場合によってはそれ以上かかる。ユーザーニーズが頻繁に変化し、採用する技術も激しく進化するなかで、このようなスピードではようやくシステムが完成にこぎ着けたとしても使い物にならない。
一方で、デジタルビジネスに資するシステムは、最初に要件を出し切れないケースが多い。そのため、短いサイクルで段階的に機能をリリースし、利用者からのフィードバックで改善を繰り返し完成度を高めていきたいところだ。
こうした開発スタイルを実現するのは、ウオーターフォール型では難しい。そこで注目されるのが、アジャイル開発の代表的な手法である「スクラム」だ。
ただし、従来のスクラムは構築できるシステムの規模に制約がある。