日立製作所が実践したスクラム開発では、約3年にわたって総勢150人のメンバーがかかわり、4つのソリューションを開発した。その1つが「開発基盤プロジェクト」である。
開発基盤プロジェクトで作成する予防保守ソリューションを題材に、エンタープライズ向けスクラムの運営方法(課題管理やリリースサイクル)を説明する。
「フィーチャー」を独自に追加
予防保守ソリューションのシステム構成図を以下に示す。従来は個別に運用していたOT(オペレーショナルテクノロジー)システムと業務ITシステムをうまく連携させるのがポイントである。
製造現場の機器から、センサーデータを収集する。OTシステムで故障の可能性を予知し、OT×IT連携システムで定期的に状態を取得する。故障予知の結果、機器に異常が見られた場合は、業務ITシステムにインシデントを登録する。この一連の処理フローをNode-REDを用いてコーディングし、実行する。
通常のスクラム開発では、開発期間を1~2週間といった単位の「スプリント」に細切れにして、1つひとつのスプリント期間内で解決していく課題をユーザーストーリーやタスクで管理する。開発基盤プロジェクトではそれに加え、複数のスクラムチームの運営手法である「Scaled Agile Framework(SAFe)」を参考にして、3カ月単位でリリースするソリューションに対する要件を「フィーチャー」と呼ぶことにした。
そして、それを1スプリントで実現する単位にブレークダウンした課題をユーザーストーリーとし、ユーザーストーリーを各個人単位に割り当てる作業をタスクとした。