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 理論半分、オカルト半分──。

 オーディオの世界でしばしば使われる表現だ。「なぜ音質が向上するのか、理屈はわからないが、聴覚上で良くなったから結果オーライ」というわけだ。オーディオマニアの偏執的な行動を皮肉る表現として「オカルト」は好んで使われる。今回は、PCオーディオにまつわるオカルトな話題に迫ってみたい。

ハイレゾ音源を準備して、SSD対HDDの音質比較を実施。果たして軍配はどちらに?
ハイレゾ音源を準備して、SSD対HDDの音質比較を実施。果たして軍配はどちらに?
(筆者撮影、以下同じ)
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 2015年、ソニーが「ハイレゾ対応ウォークマンに最適」と銘打ち高音質をうたったmicroSDカード「SR-64HXA」を発売したときのプチ騒動は忘れもしない。オーディオに興味のない人は、音源ファイルといってもデジタルデータなのだからSDカードで音質が変化するなどあり得ない、と考えたのだろう。

 Amazon.co.jpの商品ページのレビュー欄には、この製品のことを小馬鹿にしつつも、オカルト領域の想像力を膨らませた投稿が多数寄せられ、大喜利状態となってしまった。「音質が向上した」という真面目なレビューと大喜利レビューが高得点を付けて渾然一体となって並んでいる。

 今でも同商品のページでレビューを読むことができる。この製品を皮肉る人々は、収録される音源は0と1で構成されたデジタル信号にすぎないのだから、ストレージ製品の品質に左右されて音質に変化が生じるはずはない思っているのだろう。

 その延長線上にある議論というわけではないが、ホールなどでアコースティックな楽器による演奏をハイレゾ品質で収録する機会の多い筆者として、かねてより疑問に思っていたことがあった。それは、ハイレゾ音源を再生する場合のファイルの置き場として、SSDとHDDを比較して音質に差異はあるのだろうか、という疑問だ。

 一般論として、デジタル信号は劣化しない、変化しない、とされているので、SSDであろうがHDDであろうが同一条件で再生する限り、記録媒体の違いが音質に反映されることなどあり得ないと考えるのが普通だろう。

筆者自身で録音した、ピアノソロ、バイオリンとピアノのデュオ、クラシックギターなどの演奏による192kHz/24ビット音源を使用して比較した
筆者自身で録音した、ピアノソロ、バイオリンとピアノのデュオ、クラシックギターなどの演奏による192kHz/24ビット音源を使用して比較した
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