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 新しい勘定系システムの完全稼働から1年。みずほフィナンシャルグループのIT部門が大きく姿を変えようとしている。「MINORI」開発で育った人材が、次なるプロジェクトで活躍を始め、IT子会社の大規模再編も始まった。

2大プロジェクトの人材供給源に

 MINORIの開発で鍛えられた人材は、新たなシステム開発プロジェクトの中核人材として活躍している。これもMINORIの成果の1つだ。

 その1人、みずほ証券の重見欣孝IT基盤統括部ヴァイスプレジデント(VP)は現在、同社でリテール向けの基幹系システム刷新に取り組んでおり、PMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)の一員として関係者の調整に奔走する。

 重見VPはITベンダー出身で、2007年にみずほ情報総研に入社した。MINORIに関わっていた頃は、みずほ情報総研でITインフラを取りまとめる部門にいた他、事業部間の連携を促す「銀行システム横断開発推進プロジェクトチーム(横断PT)」に所属した。

 特に重見VPの心に残っているのが、横断PTでの経験だ。横断PTに異動したのは2017年6月で、1年後のデータ移行に向けて、新しいITインフラを中心に順次リリースしていた頃だ。「事業部ごとに体制や準備状況などに濃淡があった。それらの統制をとり、質をそろえる必要があった」(重見VP)。

 ITインフラの部門にいた頃は担当者同士のやり取りが中心だったが、横断PTでは時には事業部の部長を説得する必要があった。重見VPは「苦労も多かったが、みずほグループ内の人脈が一気に広がった」と振り返る。その経験がみずほ証券でのPMO業務に生きている。「証券にも様々なシステムがあり、システム担当者の立場もそれぞれ違う。そうした人たちの意見を尊重して、物事を前に進める時にMINORIでの経験が生きている」(重見VP)という。

みずほ証券の重見欣孝IT基盤統括部ヴァイスプレジデント
みずほ証券の重見欣孝IT基盤統括部ヴァイスプレジデント
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 もう1人がみずほ銀行の村岡正規IT・システム統括第二部海外業務基盤整備統括チーム調査役。現在は海外版MINORIといえる「G-Base」の刷新プロジェクトに携わる。MINORIでは外国為替の業務アプリを開発したり、みずほ情報総研の横断PTで全体の品質や進捗を管理したりしていた。横断PTでは「各部門に要望を伝えるだけでは通じない」(村岡調査役)という考えから、現場との目線を合わせたコミュニケーションに力を注いだ。当時、開発拠点が東京・中目黒や新宿などに分散していたため「多い時は1日5~6拠点を回ることもあった」(同)。

 G-Baseのプロジェクトは海外とのやり取りが中心になり、円滑なコミュニケーションはMINORI以上に難しいところもある。村岡調査役はMINORIでのやり方を押しつけるようなことはしない。まずは海外拠点のやり方を聞いたうえで、MINORIの手法とのギャップを見極め、最適な解決法を見いだすようにしている。村岡調査役は「ある程度は手数が必要になるが、ずっとすれ違ったままで進めて後で大きな手戻りが発生するやり方に比べて、近道のはずだ」と力を込める。

みずほ銀行の村岡正規IT・システム統括第二部海外業務基盤整備統括チーム調査役
みずほ銀行の村岡正規IT・システム統括第二部海外業務基盤整備統括チーム調査役
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