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 今回から、アディティブ製造(3Dプリンティング)の7つの造形方法それぞれについて、造形プロセス、造形材料、前工程と後工程について詳細に解説していく。今回は「材料押出法」を紹介する。

造形プロセス 

 材料押出法は、立体モデルを固定するプレートに対して相対的に動かすノズルから材料を押し出し(吐出し)て立体モデルを造形していく方法である(図1)。この方式の別称としては、「熱溶解積層法」や「FDM(Fused Deposition Modeling)」、「FFF(Fused Filament Fabrication)」などがある。

図1 材料押出法のアディティブ製造装置における造形プロセス例
図1 材料押出法のアディティブ製造装置における造形プロセス例
(出所:ACSP)
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 一般的に、材料としては熱可塑性プラスチック(高温になると溶けるプラスチック)を使う。プラスチックをノズルの手前に配置したヒーターによる加熱で溶かした状態で押し出す。

 ノズルから吐出したプラスチックは、既に造形してある下の層のプラスチックと接触したり、周囲の空気にさらされたりすることで冷やされて固まっていく。吐出されたプラスチックの冷却を外気に頼るため、造形エリアの温度を一定に保つ機能を持った装置もある。

 同方式の基本特許が2009年に切れたこともあり、一気に多くのメーカーが同方式のアディティブ製造装置(3Dプリンター)を投入し、低価格化が進んだ。近年のパーソナル向けの低価格アディティブ製造装置の多くで採用されている方法である。

 一般的に見られる材料押出法のアディティブ製造装置の出力可能面積は、手のひらや官製はがき程度の小さなサイズの機種が多いが、業務用の機種においては長手方向が1mを超える造形も可能な装置もある。

造形ヘッドとテーブルの相対位置を制御

 材料押出法のアディティブ製造装置で断面形状を作製して積層していくためには、ノズルやヒーターを組み込んだ造形ヘッドと、立体モデルを固定するプレートとの相対的な位置関係を制御する必要がある。断面形状を作製する際には水平方向(XY方向)に動かす。造形する層を変える(次の層に移る)際には垂直方向(Z方向)に動かす。

 このような位置関係を制御する仕組みは、アディティブ製造装置のメーカーや機種によってまちまちで、水平方向には造形ヘッドを動かし、垂直方向には造形テーブルを動かすタイプや、全ての方向に造形ヘッドを動かすタイプなどがある。造形ヘッドやテーブルを動かすためのアクチュエーターや駆動機構(ボールねじやベルトなど)にも、各メーカーの考え方が反映されている。

 一般的には、X、Y、Zの3方向にそれぞれ直線的に動かす機構(リニアガイド機構)を持つアディティブ装置が多いが、「パラレルリンク機構」と呼ぶ仕組みで造形ヘッドの位置決めをする装置もある。パラレルリンク機構では、造形ヘッドを支持する3本のアームの端部を上下動させて、ヘッドの3次元的な位置を決める。