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 日経Automotiveが自動車関連の技術者を対象に実施したアンケート調査「アフターコロナの自動車産業~技術者の働き方と社会・消費者ニーズはどう変わるか」――。その調査結果の概要は、本連載の第1回で紹介した。今回と次回は、技術者の働き方の現状と今後を、同調査から分析していく。

* 同調査は、新型コロナウイルスの感染拡大によって、自動車産業界における技術者の働き方や社会・消費者のニーズはどう変化しつつあるのか、また自動車関連企業は事業を安定させるためにどのような事業体制の見直しが必要なのかを調べるために実施した。メールマガジン「日経 Automotive News」の登録者、およびWebサイト「日経クロステック」の登録会員で半年以内にアクセスがある会員を対象に、2020年6月18~19日の2日間、Webを通じて実施した。有効回答数は219件だった。

効率や質が低下を危惧する声も

 最初に注目したいのは、技術者はどんな業務をテレワークで実施困難と考えているのかである。今回のアンケート調査では自由記述として意見を聞いた。そこから浮かび上がってきたのが、以下のような事項だ。

 例えば、ものづくりの上流の研究開発/製品設計/事業・商品企画では、現物や会社の設備・装置を扱う業務やそれらの立ち会い、対面でなければ効率や質が低下する会議や打ち合わせ、現地に出向かないと実施できない調査や情報収集、電子データになっていない情報やドキュメント化されていない情報の共有、紙の書類・伝票や押印が前提となっている業務、スタッフの教育と面談などだ。会社によっては、役員とのミーティングや上司への報告でも対面が求められているケースがあるようだ。

 もう少し掘り下げると、現物や会社の設備・装置を扱う業務やそれらの立ち会いでは、以下のものが該当する。「試作、試験・実験、現物確認・評価・解析、調査とその立ち会い」「実際の製品やクルマを見ながらのVE/VA検討や組み付け検討、デザインレビュー」「製造現場の確認・立ち会い、量産品における現場対応、不具合対応」「会社の設備・装置の保守」「部品や完成品の搬入・搬出」「社外からのアクセスを制限されているシステム(CAD、CAEなど)を利用する業務」などだ。

 対面でなければ効率や質が低下する会議や打ち合わせとしては、「現物を見ながらの詳細な技術コミュニケーションや製品サンプルを見ながらのミーティング、実機を提示しての顧客プレゼン、取引先との交渉・折衝といった対面での調整が必要な事案」「アイデア検討会、ワイガヤミーティング」「営業や他の開発部署との非公式な情報交換、関係部署との細かなすり合わせ」などがその例だ。

 また、現地に出向かないと実施できない調査や情報収集の例は、「市場調査、現地調査、仕入れ先実態調査、製造現場の状況調査、展示会視察・商談、展示会での情報収集」である。紙の書類・伝票や押印が前提となっている業務は、「紙による押印が必要な各種承認処理、契約手続き、出図、印刷物の作成」などとなっている。

 一方、ものづくりの下流に当たる生産技術や生産管理では、実物を使用した生産設備の評価・検証・調整、現場で行うトライアルや改善、現場での監督・調整、現場のフォロー、現場調査・製造工程の確認、工事の立ち会い、設備や治工具の組み立て・加工、生産設備の立ち上げ・保守、現場・現物・現象の状況確認とトラブル対応・不具合の復旧などの現場でしか行えない業務を挙げる声が多い。また、機密上で社外からアクセスできないシステムやデータベースを用いるという点から、CADによる設計やデータベースにある情報を必要とする資料の作成を挙げる声もあった。現物を用いたチーム内での議論や、電子化されていない職場の資料を見ながらの資料(例えば、検査基準など)の作成、スタッフの教育、紙書類や押印を前提とした確認・承認を挙げる技術者もいた。