自動車のカーボンニュートラル(炭素中立)を目指した技術開発が世界で加速する。仕掛けるのは、「パリ協定」を旗印に掲げる欧州だ。ライフサイクル全体で二酸化炭素排出量を評価するLCA規制を導入し、水素エネルギーの活用に軸足を移す。電気自動車「一辺倒」の方針を改めるのと同時に、アジアに偏る電池供給網を欧州に奪取する思惑がある。ハイブリッド車に強い日系自動車メーカーは、どう対抗するのか。2050年を見据えた「カーボンニュートラル自動車」対決。長くなる戦いの前哨戦が始まった。

特集
カーボンニュートラル自動車の衝撃
目次
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ホンダが出した欧州炭素中立への答え、HEVは過渡期にあらず
(第3回)
ホンダは、自動車や2輪車などで二酸化炭素の排出と吸収を同じにするカーボンニュートラルを実現する戦略を推し進める。ハイブリッド車(HEV)と電気自動車(EV)の開発を両輪に据えるだけにとどまらず、エネルギー生成段階にまで踏み込む方針だ。欧州が打ち出すカーボンニュートラル構想に、日系メーカーでいち早く…
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テスラ・トヨタ外し、欧州グリーン水素でディーゼル再生の真意
(第2回)
自動車のライフサイクル全体でCO2排出量を評価するLCA規制――。欧州製電池の競争力を高める狙いがある一方、エンジン車の比率が高止まりする可能性がある。欧州の雇用を守れたとしても、象徴である「パリ協定」の達成がおぼつかなくなるのはまずい。欧州がエンジン車のカーボンニュートラル(炭素中立)化を実現す…
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EVからディーゼルへ、欧州水素50兆円構想で狙うアジア封じ
(第1回)
欧州が2030年までに、水素エネルギーの普及に50兆円規模の巨費を投じる。アジア企業を利する電気自動車(EV)頼みの環境対策を転換する。欧州が強いエンジン技術と水素エネルギーを組み合わせ、環境対策と併せて雇用を生む。自動車ライフサイクル全体にわたる規制の検討を同時に進め、電池供給網を欧州に呼び込む…