新型コロナウイルス感染症の流行拡大を1つのきっかけに、デジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みが製造業で加速しつつある。生産ラインのスマート化はもちろん在宅勤務やリモート立ち合い、工場の無人化やバーチャル展示会の開催など、従来の枠を越えた挑戦も始まった。製造業ならではの新たなDXの取り組みを探る。

製造業DXはじめました
出典:日経ものづくり、2020年8月号 p.37
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
目次
-
生産現場のDXを阻む、ITリテラシーとリーダーシップの欠如
Part5 現場からの声
「経営者のリーダーシップなくしてDXは成功しない」「現場を動かす部長・課長クラスの管理職にITリテラシーがなさ過ぎる」─ 。アンケートの自由記述欄には、DXの推進に当たってITリテラシーの必要性と、経営者・幹部のリーダーシップを求める声が目立った。特に興味深い回答について電子メールで追加取材。製造…
-
製造業のDX「取り組んでいる」4割、技術不足やツール選びが課題
Part5 現場からの声:数字で見る現場
約4割の企業が既に「DX(デジタルトランスフォーメーション)」に取り組んでいるものの、推進上の課題として「技術・ノウハウ不足」、次いで「ツールのコストや選択」や「必要な人材の不足」がある─。日経ものづくりが2020年7月初旬に実施したアンケート調査では、こんな実態が浮かび上がった。自由回答では、経…
-
工場の3D化に予兆保全、生産現場のDX化支援サービス続々
Part4 DX支援サービス続々
生産現場に限らず、点検や調達、教育などの幅広い分野で製造業のデジタル変革を支援する技術・サービスが充実してきた。人手不足の解消のみならず、新型コロナの感染対策においても活用が期待できそうだ。
-
展示会もリアルからオンラインへ、仮想空間で広がる製造業の販路
Part3 新たな挑戦:バーチャル展示会
新型コロナの流行で展示会の中止が相次ぐ中、販路を広げる方法として「バーチャル展示会」をWebサイト上で公開するメーカーが増え始めている。来場者はPCのWebブラウザーやスマートフォンのアプリから展示会場に入る。画面を操作しながら、本物の展示会場の中を歩き回るようにバーチャル空間を移動して製品や技術…
-
ここまでできるリモート化、出荷前検査や故障解析の立ち会いも
Part3 新たな挑戦:リモート立ち会い
新型コロナの流行を機に、オンライン会議システムを駆使した「リモート立ち会い」の取り組みが始まっている。例えば、DMG森精機は「工作機械のデジタル立ち会い」を、OKIエンジニアリング(東京・練馬)は故障解析における「オンライン立会解析」を始めた。もともとは新型コロナ対応の苦肉の策だったが、コスト低減…
-
住友ベークライト 10億円で工場見える化、人員半減も生産2割増
Part2 生産ラインの革新:住友ベークライト
住友ベークライトは国内4工場の生産ラインにIoT(Internet of Things)技術とAI(人工知能)を導入し、生産量を2割向上させた。1ライン当たり300〜500個ものセンサーを設置し、リアルタイムでの予兆保全と自動制御を実現した。投資額は約10億円。今後も数十億円をかけて、他の製品や海…
-
データがつなぐ設計と生産、サーボ1000台を監視する安川のDX工場
Part2 生産ラインの革新:安川電機
安川電機の入間事業所にある「安川ソリューションファクトリ」(埼玉県入間市、以下ソリューションファクトリ)は、同社のモーションコントロール事業の主力工場。ロボットやIoT(Internet of Things)、AI(人工知能)技術をふんだんに活用してサーボモーターやサーボアンプを生産する、同社のス…
-
他社のDXに惑わされない、主役はAI/IoTだけにあらず
Part1 動向
「デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)」というキーワードを旗印に、新たなデジタル技術の導入・活用を模索するものづくり企業が増えている。本誌のアンケートでも、6割以上がDXについて「取り組んでいる」または「今後取り組む予定がある」と答えた。