安川電機の入間事業所にある「安川ソリューションファクトリ」(埼玉県入間市、以下ソリューションファクトリ)は、同社のモーションコントロール事業の主力工場(図1)。ロボットやIoT(Internet of Things)、AI(人工知能)技術をふんだんに活用してサーボモーターやサーボアンプを生産する、同社のスマート工場の実証拠点だ。自動化とデジタルデータの活用による生産性の向上を追求しており、例えば、サーボアンプの生産では製造リードタイムを従来に比べて6分の1に短縮しつつ、組み立てに必要な人員を同3分の1に減らした。
2018年12月の稼働開始から1年半余りがたち、工場内の「見える化」の徹底によって、不良の原因分析や予防保全の取り組みで成果が上がってきた。「従来は不良品について議論しても生産と設計で話がかみ合わないこともあったが、取れるデータが増えて、数字に基づいて議論できるようになった」─。工場長の白石聡氏はこう胸を張る。
サーボ1000台を監視
ソリューションファクトリで生産するのは同社のサーボモーターの主力製品「Σ-7」シリーズ。主に1階でサーボモーターを、2階で同アンプを生産している。そのバリエーションは、それぞれ400種類と600種類にもなるが、それを最小ロット1台から製造できる変種変量生産が強みだ。
ソリューションファクトリでは1000台のサーボモーター、60台のコントローラー、30台の産業用ロボット、AGV(自動搬送車)などが稼働しており、生産実績はもちろん、それら生産設備に組み込まれたサーボモーターのトルク値や、設備の温度といったデータも収集している*1。
データは2階の「統合指令室」で集中監視する。同室の8枚の大型モニターには生産ラインやAGV(自動搬送車)の動きがリアルタイムに映し出されており、トラブルがあればアラートを出して担当者が即座に駆け付けられるようになっている(図2)。
さらに今後は、収集したデータに基づく生産ラインの自動制御に取り組む考え。白石氏は「取り組みはまだ道半ば」と意欲をみせる。