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東京・上野動物園でジャイアントパンダ舎などを新築する一連の工事がほぼ完了し、竣工検査も2020年7月に終えたことが分かった。3頭いるパンダは、間もなく引っ越すことになりそうだ。連載初回は、独自入手した図面と取材を基に、パンダの動線を考えた屋外や屋内の「放飼場」の配置や、ガラス越しでなくパンダを直接見られるエリアでの仕掛けについて解説する。

新パンダ舎の完成予想図(資料:東京都)
新パンダ舎の完成予想図(資料:東京都)
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 2018年に始まった工事は予定より遅れたうえ、竣工時に検査するはずの中国の専門家が新型コロナウイルスの感染拡大に伴う渡航制限で来日できないという想定外の事態に見舞われた。これらを乗り越えての完成だ。2017年に上野動物園で生まれ、2020年末にも中国へ旅立つ雌のシャンシャン(香香)は、日本にいる残り数カ月間を「新居」で過ごす。

 新パンダ舎を含む一帯は「パンダのふるさとゾーン(仮称)」として、上野動物園を所管する東京都建設局が整備した。中国四川省のパンダのふるさとを再現するのがコンセプトで、全体の敷地面積は約6800m2、工事費は約22億円だ。

 筆者が全91ページに及ぶ図面を都から独自に入手したのは2018年9月。「パンダのふるさとゾーン」の敷地内にはパンダ舎に加え、レッサーパンダ舎や鳥舎もある。パンダと生息地が同じ動物をパンダのそばで公開して、「来園者に生息環境などを含めて理解してもらうのが狙い」(東京都建設局東部公園緑地事務所の永田雅之・動物園整備担当課長)とのことだ。

新パンダ舎を含む「パンダのふるさとゾーン」は上野動物園の西園の一画に整備される。東京都の資料に日経クロステックが加筆
新パンダ舎を含む「パンダのふるさとゾーン」は上野動物園の西園の一画に整備される。東京都の資料に日経クロステックが加筆
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「パンダのふるさとゾーン」の全体図。黒い網の掛かった部分が新パンダ舎(資料:東京都)
「パンダのふるさとゾーン」の全体図。黒い網の掛かった部分が新パンダ舎(資料:東京都)
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 基本設計と実施設計は翔設計(東京・渋谷)が手掛けた。工事は建築や電気設備、給排水衛生設備などに分けて都がそれぞれ発注した。外構工事や植栽工事は工期の後半で実施。主な工事は2020年6月末で終わり、7月は最後の手直しを実施している。

2020年4月、上野動物園を縦断する台東区道「動物園通り」から見えた施工中の新パンダ舎には、高さ2.5mのガラスが。茶色の擬岩は荒々しい感じに仕上げてある(写真:中川 美帆)
2020年4月、上野動物園を縦断する台東区道「動物園通り」から見えた施工中の新パンダ舎には、高さ2.5mのガラスが。茶色の擬岩は荒々しい感じに仕上げてある(写真:中川 美帆)
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 新パンダ舎の面積は、現パンダ舎に比べ大幅に広がる。屋内施設は鉄筋コンクリート(RC)造の地上1階建て。建築面積は1016m2で、現パンダ舎の294m2の3倍超となる。屋外施設の面積は1172m2で、こちらも現パンダ舎の845m2より広がる。