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前編では、壁掛けの個別エアコンによる冷房の欠点とともに「全館24時間冷房」の快適性に触れた。後編では実際に全館空調を導入している住宅で計測した独自データを示しながら、最も気になる電気代について前真之・東京大学准教授が解説する。

(イラスト:ナカニシミエ)
(イラスト:ナカニシミエ)

 冷房最大の敵は窓からの日射熱だ。図1に示すように、冷房期の平均日射熱取得率ηAC値が建築物省エネ法ギリギリでは、日射熱だけで日平均1400Wと膨大。冷気が十分に届かない窓際は放射温度が高くなり、不快の原因となる。

[図1]冷房最大の敵は窓からの日射熱
東京(8月の外気平均28℃)における、モデル住宅(床面積120m2、外皮面積280m2(うち窓面積30m2)の2階建て)の冷房負荷の内訳概算。開口部からの日射熱取得が1400Wと大きな冷房負荷となっていることが分かる(η<sub>AC</sub>2.8÷100×280m<sup>2</sup>×180W/m<sup>2</sup>≒1400W)。照明や家電による内部発熱もバカにならない(資料:前 真之)
東京(8月の外気平均28℃)における、モデル住宅(床面積120m2、外皮面積280m2(うち窓面積30m2)の2階建て)の冷房負荷の内訳概算。開口部からの日射熱取得が1400Wと大きな冷房負荷となっていることが分かる(ηAC2.8÷100×280m2×180W/m2≒1400W)。照明や家電による内部発熱もバカにならない(資料:前 真之)
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 日射遮蔽の徹底は省エネだけでなく、快適性の向上のためにも極めて重要だ。全館空調で快適性をしっかりと確保するためには、吹き出し口を暖房と冷房で兼用する方式の場合、季節ごとに吹き出し口の向きを切り替える必要がある[図2]。

[図2]吹き出し口の向きも肝心!
[図2]吹き出し口の向きも肝心!
同じ吹き出し口を暖房・冷房に兼用する場合は、吹き出しの向きを季節ごとに切り替える必要がある。吹き出し向きの変えやすさも重要(撮影協力:桧家住宅)
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 暖房の軽い暖気は床に向かって吹き下ろすことで、足元まで暖まる。冷房の冷気は横に吹き出すことで、冷気の降下が穏やかになり温度ムラや気流感が小さくなる。暑くなりやすい窓際まで快適にするためには、窓に冷気が届くように吹き出し口の配置を計画することが肝心なのだ。