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 損害保険ジャパンは人工知能(AI)やコミュニケーションツールのLINEを使い、地震や水災、台風の広域災害の事故連絡や損害査定について顧客の利便性を高めるプロジェクトを推し進めている。2020年度中に対話型AIによる事故受け付けを実運用する計画のほか、2020年10月末をめどにLINEで画像認識AIを使った損害査定調査を導入する計画だ。

損害保険ジャパンの保険金サービス企画部の池永敦損害サービスグループ特命課長
損害保険ジャパンの保険金サービス企画部の池永敦損害サービスグループ特命課長
撮影:日経クロステック(取材時はマスク着用の上、十分に距離をとり感染症対策を実施しました)
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 「2018年がターニングポイントだった。災害時対応を抜本的に変えなければならないと強く思った」と損害保険ジャパンの保険金サービス企画部の池永敦損害サービスグループ特命課長は話す。2018年度は、6月の大阪府北部地震をはじめ、7月は西日本豪雨、9月は台風21号による近畿地方の打撃や北海道胆振東部地震など多数の災害が日本を襲った。「過去に経験したことのないレベルだった」(池永損害サービスグループ特命課長)。

 災害発生後、一気に損保ジャパンに事故の連絡が押し寄せた。「2018年度は広域災害だけで約50万件の事故連絡(2020年8月1日までの累積)があった。他社も同じ状況だったと思うが、オペレーションが完全にパンクした」(池永損害サービスグループ特命課長)。2011年の東日本大震災の際は事故連絡が35万件ほどだった。

 「台風や豪雨が年々増加してきている」と池永サービスグループ特命課長は話す。災害の規模も大きくなり、発生する頻度も高くなっているという。2019年度についても広域災害の事故受け付けは33万件(2020年8月1日までの累積)だった。

 さらなる大規模な災害も懸念される。「首都直下型地震が発生した場合、東日本大震災よりも甚大な被害を及ぼす可能性がある」。池永損害サービスグループ特命課長は険しい表情でこう話す。

専門部隊を設置

 損保ジャパンは広域災害が増加している状況を踏まえ、デジタルを駆使して保険金支払いを改革するためのプロジェクトチームを2018年10月に立ち上げた。名称は「災害対応デザインチーム」だ。発足当時は専任者が2人だったが、2020年8月現在では13人いる。

 プロジェクトでは広域災害発生時の事故受け付けから初期対応、損害調査、支払いの各プロセスにおいて、デジタルを活用して顧客の手続きの利便性の向上や保険金支払いの迅速化、そしてオペレーションを効率的にするための施策を講じる。