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 2020年、全固体電池を採用した電気自動車(EV)が登場するのか――。ドイツVolkswagen(フォルクスワーゲン:VW)のSUV(多目的スポーツ車)型EV「ID.4」、日産自動車のSUV型「アリア」、ホンダの小型EV「Honda e」など、各社が次々とEVを発表するのに合わせて、搭載する電池についてもにわかに関心が高まっています。その1つが全固体電池。EV市場の先駆者である米Tesla(テスラ)が一番乗りを目指すのか。それとも、トヨタ自動車やVWといった大手自動車メーカーが先陣を切るのでしょうか。

 そこで今回は、自動車メーカーや電池メーカーの全固体電池に対する動向を振り返ります。全固体電池そのものに関する説明は、関連記事の『Liイオン電池の革新 5分でわかる「全固体電池」』をお読みください。

Teslaが明かした電池の“隠し玉”

 「EV向けの全固体電池が発表されるのではないか」。2020年9月、そんな噂があちらこちらでささやかれていました。その発端は、Teslaが2020年9月22日(米現地時間)に開催すると発表したイベント「Battery Day(バッテリーデー)」でした。同イベントで発表される電池関連の新技術として、全固体電池がお披露目されるといった期待が高まっていたのです。

 残念ながら、Battery Dayでは全固体電池の発表はありませんでした。Teslaは低コストなリチウムイオン電池の内製化にめどをつけたことを発表。その電池を活用して、価格を2万5000ドル(1ドル=105円換算で約263万円)に抑えたEVを2023年までに市場投入する計画を明らかにしました。

東京五輪の延期は“吉”となるか

 では、大手自動車メーカーが2020年内に全固体電池を発表する可能性はあるのでしょうか。

 遡ること約1年前の2019年6月、トヨタは「電動車を世界で550万台以上販売し、そのうちEVと燃料電池車(FCV)を100万台以上とする」という電動車の普及計画を、5年前倒しとなる2025年に改めることを発表しました。

トヨタ自動車は、「電動車を世界で550万台以上販売し、そのうち電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)を100万台以上とする」という電動車の普及計画を5年前倒して2025年に改めることを、2019年6月に発表した(撮影:日経クロステック)
トヨタ自動車は、「電動車を世界で550万台以上販売し、そのうち電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)を100万台以上とする」という電動車の普及計画を5年前倒して2025年に改めることを、2019年6月に発表した(撮影:日経クロステック)
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 日経クロステックの記事『VWへの対抗か? EVで黒字になるのか? トヨタの答え』によると、その際に、トヨタの寺師茂樹副社長(当時、現・取締役執行役員Chief Competitive Officer兼Chief Project Officer)が全固体電池について「2020年の東京オリンピック・パラリンピックのタイミングで何らかの形で発表したい」と語ったといいます。

 こちらも残念ながら、東京オリンピック・パラリンピックの開催が延期になった影響もあってか、当初予定していた2020年8月が過ぎてもトヨタは動かず、何の発表もありませんでした。

 ただ、トヨタの意気込みは本物のようです。日経クロステックの記事『小型のEVでも500km、トヨタが見据える全固体電池の可能性』によると、全固体電池の開発に携わるトヨタの関係者は「トヨタの2次電池の研究開発は、全固体電池にかなりフォーカスしている」と語っています。

 東京オリンピック・パラリンピックの開催が延期になったことをむしろ好機と捉えて発表を急がず、全固体電池の開発に磨きをかけているのかもしれません。

 欧州の自動車メーカーの巨人VWは、着々と準備を進めているようです。VWグループは2020年6月、米国の電池開発ベンチャーQuantumScape(クアンタムスケープ)に2億ドル(約214億円、1ドル=107円換算)の追加投資を発表。固体電池技術の共同開発を加速するようです。

 VWがQuantumScapeとの協力を開始した2012年当時、全固体電池の実用化目標を2025年としていましたが、今回の追加投資によってそのスケジュールが早まる可能性も考えられます。

カギはCATLが握る?

 では、自動車メーカーに電池を提供する電池メーカーはどうでしょうか。大手メーカーの1つである中国・寧徳時代新能源科技(CATL)は、2019年6月の時点では、全固体電池と距離を置く戦略を取っていました。

 そこで今回は、日経クロステックの記事『「2030年まで全固体電池は商品化しない」、CATLの真意』からクイズを出題します。

 同記事によると、2019年6月の時点で、トヨタの技術者はEV用の電池コストの目安について、「電池セルの価格が50ドル/kWhまで下がってようやく、EVと内燃機関車のパワートレーンのコストは同等になる」と語っていました。

 これに対して、CATLの幹部は厳しい目標だとしながらも、「(A)には内燃機関車の水準まで到達できる」と語ったといいます。

 さて、(A)に入る言葉は次のどれでしょうか。

1:2021~22年

2:2024~25年

3:2030~31年