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 自動車の走行時だけでなく生産時なども含めたライフサイクル全体で二酸化炭素(CO2)排出量を評価するLCA(Life Cycle Assessment)規制。この規制への対応などをにらみつつ、大手自動車メーカーが持続可能な社会への取り組みを加速しています。例えば、トヨタ自動車は「水素」をキーワードにした仲間づくりに注力。自動車業界にとどまらず、鉄道分野とも手を組みます。

 2020年1月以降、トヨタは「水素」をキーワードに他企業との連携事業を次々と発表しました。直近では2020年10月6日、トヨタ、東日本旅客鉄道(JR東日本)、日立製作所の3社が連携して、水素を燃料とする燃料電池(FC)を搭載した鉄道車両の開発を発表。トヨタがこれまで主軸としてきた自動車業界とは異なる分野だけに目を引きました。

トヨタ自動車、東日本旅客鉄道(JR東日本)、日立製作所の3社が連携して開発する燃料電池(FC)を搭載した鉄道車両のFV-E991系「HYBARI」(出所:トヨタ自動車)
トヨタ自動車、東日本旅客鉄道(JR東日本)、日立製作所の3社が連携して開発する燃料電池(FC)を搭載した鉄道車両のFV-E991系「HYBARI」(出所:トヨタ自動車)
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 同車両はFC装置と蓄電池を電源とするハイブリッド駆動システムを搭載。FC装置の開発はトヨタが、車輪を制御するハイブリッド駆動システムの開発は日立がそれぞれ担当します。2022年3月ごろにJR東日本の一部区間で実証実験を行う予定です。

燃料電池(FC)装置の開発はトヨタ自動車が、車輪を制御するハイブリッド駆動システムの開発は日立製作所がそれぞれ担当する(出所:トヨタ自動車)
燃料電池(FC)装置の開発はトヨタ自動車が、車輪を制御するハイブリッド駆動システムの開発は日立製作所がそれぞれ担当する(出所:トヨタ自動車)
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 自動車分野でもFCの事業展開を着々と進めています。鉄道車両の開発発表日に、日野自動車と共同でFCを採用した大型トラックを米国向けに開発すると発表。2021年前半に試作車両を開発し評価を進めることを明らかにしました。

 両社は日本国内でもFCを採用した大型トラックの共同開発を進めており、米国での展開はその取り組みをさらに発展させたものと位置付けています。

 このようなFCの活用は、一時的にわき起こったブームなのでしょうか。日経クロステック/日経エレクトロニクスの特集記事『眠れる燃料電池が覚醒』を読むと、FCの活用は単なるブームではないと言えそうです。同特集の記事『フォークリフトに燃料電池、アマゾンが大量導入、トヨタも開発』によると、2018~2019年くらいから欧米や中国などでFCの利用が急激に広がり始めていることが分かります。

 実はトヨタも粛々とFCの展開を模索していました。鉄道車両へのFC技術導入について、2018年ごろには視野に入っていたようです。同年、トヨタはJR東日本と「水素を活用した鉄道と自動車のモビリティ連携」を軸に、包括的な業務連携の基本合意を締結しました。その検討テーマの1つに「FC鉄道車両の開発・導入に向けた諸課題の解決」を掲げていたのです。

 では今後、FCの活用はどのように進んでいくのでしょうか。その一つとして筆者が注目している分野が船舶です。2020年9月1日、日本郵船、東芝エネルギーシステムズ、川崎重工業、日本海事協会(東京・千代田)、ENEOSの5社は、高出力FC搭載船の実用化に向けた実証事業を開始すると発表しました。150トンクラス相当で旅客定員100人程度の高出力FCを搭載した観光船を開発し、2024年に横浜港沿岸で実証運航の開始を予定しています。

 トヨタは同事業に参加していませんが、その動向には強い関心を持っているようです。なぜなら、トヨタは2020年2月、FC技術を船舶向けに応用したことを発表しており、「船舶へのFC利用は、水素社会の実現に向けたさらなる一歩」と位置付けているからです。

 トヨタは、トヨタの欧州事業を統括するToyota Motor Europe(TME)と共同で、再生可能エネルギーを使用して世界一周航海を目指すフランスの船舶「エナジー・オブザーバー号」向けにFCシステムを開発しました。トヨタの燃料電池車(FCV)「MIRAI」に搭載した部品を用いたといいます。

トヨタ自動車は、トヨタの欧州事業を統括するToyota Motor Europe(TME)と共同で、再生可能エネルギーを使用して世界一周航海を目指すフランスの船舶「エナジー・オブザーバー号」向けに燃料電池(FC)システムを開発した(出所:トヨタ自動車)
トヨタ自動車は、トヨタの欧州事業を統括するToyota Motor Europe(TME)と共同で、再生可能エネルギーを使用して世界一周航海を目指すフランスの船舶「エナジー・オブザーバー号」向けに燃料電池(FC)システムを開発した(出所:トヨタ自動車)
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 そこで今回は、トヨタのFCの原点といえるMIRAIから出題します。

 トヨタはMIRAIの次期モデルを2020年12月に発表する予定です。日経クロステックの記事『トヨタ次期「ミライ」の水素タンク、小型化しつつ充填量を10%増』によると、同モデルには、水素の収容量を約10%増やしながらも小型化した新型タンクを搭載する予定です。

 新型の水素タンクを足掛かりにトヨタは「次期MIRAIの航続距離を初代MIRAIに比べて(A)計画」といいます。この(A)に当てはまる言葉はどれでしょうか。

1:同程度にする

2:3割延ばす

3:8割延ばす