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 電気自動車(EV)や自動運転が話題に上るとともに、これらの車が採用する車載ネットワークへの関心も高まっています。次世代の自動車では、多種多様なセンサーが搭載され、それらが取得する大容量のデータを高速にやり取りする必要があるからです。その鍵を握る技術の1つが「車載Ethernet」です。トヨタ自動車やホンダが国際標準化に向けた活動をしていたり、ソニーが同技術を使用したEVの試作車を発表したりと、動きは活発です。

 そこで今回は、車載Ethernetについての動向を振り返り、次世代の自動車に欠かせない車載ネットワークの技術について整理します。

 日経クロステックの記事『日産「スカイライン」が車載Ethernetを採用、「手放し運転」向けで』によると、日本の自動車メーカーが車載Ethernetを本格的に採用した量販車は、日産自動車が2019年9月に発売したセダン「スカイライン」が初めてだといいます。

 スカイラインは、ADAS(先進運転支援システム)の「プロパイロット2.0」を搭載したのが特徴です。運転者が前方を注視するといった一定の条件を満たした状態で、高速道路上で同一車線内の手放し(ハンズオフ)運転ができることが、大きな目玉の1つです。

 このプロパイロット2.0を実現する技術として、日産は車載Ethernetを採用しました。前出の記事によると、車載Ethernetは従来の車載ネットワーク技術に比べて、「データ伝送速度が高速、車載ネットワークを簡素化しやすい、IPベースでデータをやり取りできるのでクラウド側との連携がより容易になる」といった利点があるといいます。

 この利点を生かし、プロパイロット2.0では、「3D高精度地図データ」のピア・ツー・ピア(P2P)の伝送に活用したと考えられます。「同データは、cmオーダーの高速道路の形状や全ての車線の区分線、速度標識、案内標識などの情報を持つ。その分データ量は大きく、高速な車載Ethernetの採用に踏み切った」と同記事では解説しています。

日産自動車のセダン「スカイライン」に搭載した先進の運転支援機能「プロパイロット2.0」は、高速道路上での同一車線内で手放し運転が可能になります(撮影:日経クロステック)
日産自動車のセダン「スカイライン」に搭載した先進の運転支援機能「プロパイロット2.0」は、高速道路上での同一車線内で手放し運転が可能になります(撮影:日経クロステック)
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 他方、トヨタやホンダは車載Ethernetに対してどのように取り組んでいるのでしょうか。

 残念ながら記事執筆時点では、トヨタとホンダは車載Ethernetを採用した具体的な車両などについては未公表です。しかし、無関心というわけではありません。数年前から採用に向けた下地づくりに力を注いでいました。

 『トヨタやホンダ、マツダなどが議論する次世代車載Ethernet、国際標準の場に提案へ』の記事によると、トヨタやホンダ、マツダといった日本の自動車メーカーが協力し、業界団体「JASPAR」を通じて車載Ethernetの国際標準化に向けた活動をしていました。

 車載Ethernetに注目する企業は自動車メーカーだけではありません。例えばソニーはその1社です。

 同社は2020年1月、米ラスベガスで開催された米国最大のコンシューマーエレクトロニクス関連展示会「CES 2020」でひときわ大きな注目を集めました。「VISION-S(ビジョン エス)」と名付けた取り組みの具体例として、EVの試作車を発表したからです。

 『ソニーのクルマ「VISIONーS」 ソフトウエア起点で業界を変える』の記事によると、ソニーのEV試作車の開発責任者は「自動車でセキュアなシステムを構築する上で、重要な要素になるのが車載Ethernet」と語りました。その理由として「IPベースでデータをやり取りできるようになるので、これまでIT業界で培ったセキュリティー技術を自動車に応用しやすい」と説明します。

 ここで今回のクイズです。『ソニーのクルマ「VISIONーS」 ソフトウエア起点で業界を変える』の記事から出題します。

 同記事によると、試作車ではイン・ビークル・インフォテインメント(IVI)と呼ばれる車内や、運転席周りのシステム、すなわち、運転者と車のヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)といった「情報系」において車載Ethernetを利用しました。

 対して、走る・曲がる・止まるの機能を担う「制御系」やADASや各種センサーなどの「安全系」、パワーウインドーやドアロック、ライトなどの「ボディー系」といった他の部分では車載Ethernetは利用しませんでした。このことについて開発責任者は、「他のドメインまで広げる(A)です」と語りました。さて、(A)に入る言葉は次のどちらでしょうか。

1: 必要はない

2: かは検討中