トヨタ自動車がついに動きだしました。2020年12月9日、全面改良した燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」を発売。「カーボンニュートラル」を旗印に、電動車市場へ攻勢をかけます。トヨタはひそかに別の矢も放っていました。FCVの発売で盛り上がるタイミングに合わせたかのように、欧州にて同月7日(現地時間)、多目的スポーツ車(SUV)タイプの電気自動車(EV)を開発中と発表したのです。どのような戦略でしょうか。
新型ミライの発売は、多くのメディアから注目を集めました。外観は既にプロトタイプの車両でお披露目されていたものの、価格や航続距離といった詳細なスペックが未発表だったからです。
価格は、標準グレードの「G」で税込み710万円。エコカー減税や環境性能割、補助金などを利用すれば、500万円台後半程度で購入できるようです。これは同社の旗艦車種「クラウン」に相当する価格帯です。航続距離は約850km。旧モデルの航続距離と比較すると約30%伸びています。
トヨタにとって新型ミライは、電動車普及戦略を支える重要な柱の1つです。同社は、地域に合わせた電動車を市場投入する全方位的な戦略を取る方針としています。世界を見渡すと、エネルギー事情はそれぞれの地域で異なります。そのため、多様な電動車を持っていることが強みになると考えているからです。
日経クロステック/日経Automotiveの記事『トヨタ、電動化計画を5年前倒し』によると、トヨタが19年6月に発表した計画では、25年までに世界で販売する台数の約50%(約550万台)を電動車とするとしていました。そのラインアップとして、ハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、EV、FCVを想定しており、EVとFCVは合計で100万台程度を占めるとのことです。
ただし、この目標値は「“エイヤ”で置いた数字だ」とトヨタの担当者は説明しています。カーボンニュートラルの声が大きくなりつつある昨今の事情を考えると、もっと多くの販売台数を目指さないとならない状態ともいえるでしょう。
電動車普及の目標に向けて、トヨタはEVの販売にも本腰を入れるようです。その一歩が、20年12月7日に明らかにした、まもなく欧州で発表される新型EVです。
欧州トヨタのプレスリリースによると、新型のEVは、e-TNGAと呼ぶEV専用のプラットフォーム(PF)を採用した中型のSUVといいます。
ここで問題です。日経クロステックの記事『2年遅れのトヨタ、EV本格投入で30年規制に備え PFはVWに似る』からクイズを出題します。
e-TNGAは、大型セダン、大型SUV、中型SUVなどさまざまな車格の車両に対応できるのが特徴です。その基本思想は、ドイツVolkswagen(フォルクスワーゲン:VW)グループが手掛けるEV専用PF「MEB」に似ているといわれています。
同記事では「電池を床下に配置し、(A)方針は、詳細の決め方は異なるだろうが基本的な発想は同じだ」と指摘しています。
さて、(A)に入る言葉は次のどちらでしょうか。
1: 全車種で共通にする「固定部位」と、車種ごとに変えられる「変動部位」に分ける
2: 全車種で共通にする「固定部位」だけの構造として、車種ごとに変えられる部分をなくす