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 2020年12月7日(欧州時間)、トヨタ自動車は欧州レクサスのブランドを通じて、4輪駆動制御技術の「DIRECT4(DIRECT4 Wheel Drive Force Control)」を発表しました。モーターを活用したシステムで、ハイブリッド車(HEV)や電気自動車(EV)といった今後の電動車での活用を狙います。モーターならではの駆動制御技術が目指す先には、どのような自動車の形があるのでしょうか。

4輪を個別に制御する技術「DIRECT4」を搭載した試験車両(出所:トヨタ自動車)
4輪を個別に制御する技術「DIRECT4」を搭載した試験車両(出所:トヨタ自動車)
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 DIRECT4はHEVやEVといった電動車での利用を想定した4輪駆動制御技術です。前後の4輪それぞれにモーターが発生する駆動力を伝達し、クルマの運動を制御します。

 例えばHEVの場合は、車両の前方に搭載したエンジンで前輪を駆動して、後方に搭載した電動アクスル(E-AXLE)で後輪を駆動。それぞれの車輪を制御します。EVの場合は、前方と後方にいずれも電動アクスルを搭載して駆動する方式となります。

前部エンジン・前輪駆動(FF)のハイブリッド車(HEV)などにDIRECT4を採用する場合、後方に電動アクスルを搭載する(出所:トヨタ自動車)
前部エンジン・前輪駆動(FF)のハイブリッド車(HEV)などにDIRECT4を採用する場合、後方に電動アクスルを搭載する(出所:トヨタ自動車)
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 モーターで4輪それぞれを駆動制御する方式は、電動車ならではのメリットがあります。モーターはエンジンに比べてアクセルペダルを踏んでから車輪に力が伝わるまでの時間が短く、応答性が高い駆動力制御を実現します。

 トヨタはその特性を突き詰めた1つの解として、19年10月に開催された東京モーターショー2019で、EVのコンセプト車「LF-30 Electrified」を発表しました。4輪それぞれにインホイールモーター(IWM)を備えて車輪ごとにトルクを制御することで、運転者の狙い通りに車両姿勢を制御できるとの考えでした。

 ただ、IWMの採用には課題が多くあります。日経クロステック/日経Automotiveの記事『トヨタ、2車種にインホイールモーター 近い将来の実用化見込む』によると、「ばね下質量が重くなることや対応プラットフォームの開発などの課題がある」とトヨタの担当者は説明しています。今後モーターなどの技術開発が進み、これらの課題解決が期待されます。

トヨタ自動車がレクサスのブランドで発表した電気自動車(EV)コンセプト「LF-30 Electrified」。2030年ごろのEVの形をイメージしている(撮影:日経クロステック)
トヨタ自動車がレクサスのブランドで発表した電気自動車(EV)コンセプト「LF-30 Electrified」。2030年ごろのEVの形をイメージしている(撮影:日経クロステック)
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 モーターを活用し応答性が高い駆動力制御が可能になると、クルマ造りにどのような影響をもたらすのでしょうか。

 残念ながらDIRECT4の発表内容には、具体的な例は示されていませんでした。しかし、そのヒントとなる事例はアイシン精機が19年9月に実施した新技術試乗会の中にありました。電動アクスルの付加価値提案として実施した、後輪の左右にそれぞれ電動アクスルを搭載した車両(レクサスの「IS」)を使ったデモンストレーションです。1つは緊急時の車両の姿勢制御。もう1つはカメラと組み合わせた制御にありました。

 ここで問題です。日経クロステック/日経Automotiveの記事『アイシン精機、協調制御やシステム化で差異化』からクイズを出題します。

 同試乗会では、前方車両などとの衝突を防ぐための緊急回避時に、後輪左右の電動アクスルの出力をそれぞれ制御して車両の姿勢を安定させるといったデモが実施されました。電動アクスルの出力制御は、急ハンドルなどの緊急回避時に発生するヨーモーメントから200m秒で立ち直るように設定していました。

 この場合、同試験車両では「35km/h程度であれば、制御しない場合に比べて車両の姿勢が安定する位置が(A)になる効果がある」と担当者は説明しました。さて、(A)に入る言葉は次のどれでしょうか。

1: 約1m外側

2: 約2m外側

3: 約1m内側

4: 約2m内側