ラーメンチェーン幸楽苑は1カ月で取り扱い終了
「手数料も異なる各事業者とシステムをどうつなぐのか、システム改修の手間をどう考えるかが課題の一つになっている」。ラーメンチェーン「幸楽苑」を運営する幸楽苑ホールディングスはQRコード決済の取り扱いについてこう説明する。
同社は2020年4月1日から全国421店舗でPayPayを利用可能にしたが、4月末に取り扱いを中止した。「元からPayPayのキャンペーンに合わせて1カ月間だけの約束だった」(広報)と同社は説明する。幸楽苑は以前から様々なキャッシュレス決済を試験導入しているが、システム改修の手間や費用対効果などを検証している段階で、本格導入には至っていないという。
キャッシュレス決済の普及は時代の流れ。だが丸亀製麺や幸楽苑の例は、導入に際して様々な課題があるという現状を示している。
キャッシュレス決済に詳しい大和総研の長内智主任研究員は、「キャッシュレス決済を導入する企業が増える一方で、メリットとコストや手間を比較して距離を置く動きも一部企業に見られる」と指摘する。
政府は2025年までにキャッシュレス決済比率を現状の24%ほどから40%ほどまで引き上げる目標を掲げている。その一方で、キャッシュレス決済の普及にはいくつもの壁があるのが現実だ。
政府は課題を解決する手段の一つとして2019年10月から消費者にポイントを還元するキャッシュレス・消費者還元事業を始め、9カ月で終了した。次回は、その事業の内容や効果、見えてきた課題を検証する。