全1923文字
PR

 施工の効率化による差別化競争がますます厳しくなる――。ウィズコロナ時代の住宅会社は多くが、こうした共通認識を抱いているようだ。2020年4月から5月にかけて政府が発した緊急事態宣言の期間中は多くの会社が営業活動を事実上、停止し、8月中旬時点でも対面の顧客対応を控えている現状がある。

 住宅事業者全体で、当面の受注減は確実だ。激減する新築のパイを獲得するために、多くの会社がコスト競争力の向上や仕様の独自化など、競合との差別化を強く意識し始めている。地域住宅会社や工務店など、中小事業者でもそうした動きが既に活発化。筆者が取材先で耳にした具体的な動きをいくつか紹介しよう。

断熱・気密工事を材工ベースで請け負う専門工事へのニーズが増えてきている(写真:Kizuki)
断熱・気密工事を材工ベースで請け負う専門工事へのニーズが増えてきている(写真:Kizuki)
[画像のクリックで拡大表示]

 例えば最近、新築メーンの中小事業者で目立ち始めているのが、木工事を建て方工事と造作工事に分離して、建て方を建材販売会社やプレカット会社などに発注する仕組みの導入だ。材工ベースで発注し、一般的な規模の戸建て住宅なら1日で完了してもらう。元請け会社にとっては、施工管理の負担が減るうえに、相対的に賃金が高い大工の人工を抑えてコストを圧縮できるメリットがある。

 外装工事でも、屋根工事とサイディング仕上げの外壁工事を一体で請け負う専門工事会社が増えてきている。防水施工や水切りなどの板金工事もカバーしており、これらも元請けにとって施工管理が楽になる。「木工事の分離発注や屋根・外壁工事の一体発注はいずれも、いわゆるローコスト住宅で普及した手法。これらの手法が現在、都市部を中心に一般的な価格帯の家づくりにも浸透しつつある」。住宅会社との仕事が多い施工コンサルタントのA氏は、このように解説する。

 住宅性能や施工品質の面における差別化にも、住宅会社の関心がますます高まってきた。高断熱・高気密性能はその代表例。建材販売会社や木材会社が材料販売の一環で断熱材の“プレカット”やそれらの施工を手掛ける例は以前からあるが、それらに対するニーズが一層、色濃さを増している。

 「断熱・気密施工で高い精度を持つ大工ほど、それまで付き合いのない中小工務店などが新たに確保するのは難しい。それをわれわれがサポートする」。横浜市で断熱施工とそのコンサルティングを手掛けているKizuki(きずき)の小泉武彦氏はこう語る。同社では、こうした中小工務店からの引き合いが着実に増えているという。同社は地元の木材販売会社、小泉木材が母体。材工ベースで断熱・気密施工を請け負うとともに、設計・施工のアドバイス業務も手掛けている。

木材販売会社の小泉木材を母体とするKizukiでは、断熱・気密施工の請け負いに加えて、元請け会社に対する高断熱・高気密住宅の設計・施工アドバイスも手掛けている(写真:Kizuki)
木材販売会社の小泉木材を母体とするKizukiでは、断熱・気密施工の請け負いに加えて、元請け会社に対する高断熱・高気密住宅の設計・施工アドバイスも手掛けている(写真:Kizuki)
[画像のクリックで拡大表示]