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 富士通が「ジョブ型」人事制度の本格運用に乗り出す。管理職を皮切りに、労働組合との協議を経て一般社員にも適用していく計画だ。新型コロナウイルスの感染拡大によるテレワークの拡大を機に、会社の根幹を成すルールを刷新し、新たな時代への対応を目指す。

 富士通と言えばかつて成果主義の人事制度をいち早く導入したものの、その後の運用に苦労した。過去を教訓に改革を果たせるか。5つの挑戦について見ていく。

管理職を7段階に「格付け」

 ジョブ型は仕事の内容を細かく決めて達成度合いを見る人事制度だ。プロジェクトマネジャーやデータサイエンティストといった職務ごとに、仕事の内容と必要なスキルなどを定義し、職務に見合うスキルを持つ社員をアサインする。職種別採用を基本とし、社内異動は公募制とする場合が多い。

 富士通は2020年4月、国内グループ企業に勤める管理職1万5000人を対象にジョブ型の人事制度を導入した。一般社員6万5000人については労働組合との話し合いを経て、数年後の導入を目指す。一般社員については未導入のため、ここでは管理職を対象にした制度について見ていく。

 富士通における挑戦の1つ目は格付け制度だ。その名も「FUJITSU Level」。職責の大きさや重要性に応じて、管理職を7段階に格付けする。格付けはグローバル共通である。段階に応じて月額報酬の金額が決まる。

 月額報酬は「シングルレート」(総務・人事本部の森川学シニアディレクター)。つまり職務によって確定し、就いた役職や肩書によって、具体的な金額が決まる。これまでは職務遂行能力をベースに賃金を決めていた。いわば「人の格付け」から、職責による格付けへと変えた。

富士通における職種別報酬体系のイメージ
富士通における職種別報酬体系のイメージ
(出所:富士通)
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成果主義の「苦労」を生かせるか

 2つ目の挑戦は職種別給与だ。森川氏は職種別給与について「今後やっていきたい」と意欲を見せる。「そうしないと(ジョブ型導入の)意味が無い」と続ける。ジョブ型の人事制度を導入する日本企業が増えているが、職種別給与を導入する企業はまだ少ない。

 具体的な金額については、市場価値などを参考に設定していく。「会社と社員が互いに納得感を出せるのが理想的だ」(森川氏)。日本は雇用の流動性が高くないこともあり、競合のベンチマークなどが難しい。富士通が日本のIT市場の相場を確立していくような、決断力と実行力が求められそうだ。

 挑戦の3つ目は評価の手法だ。基本的には職務記述書(ジョブディスクリプション)に明記された職務をきちっと遂行したかがポイントになる。月額報酬は職務によって固定だが、成果に応じて賞与やインセンティブを出す。新制度について森川氏は「基本的に成果主義だ」と説明する。

 成果主義と言えば、かつて富士通がいち早く導入したものの、社員が個人プレーに走り成果を奪い合うなどの課題に直面したとされる。過去の苦労を教訓に評価の「マイナーチェンジを繰り返してきた」(森川氏)。

 例えばチームのためにどう貢献したか、どんな行動を取ったかを記入する項目を評価シートに加えてきた。このような工夫を基に、社員の意欲につながる評価制度を探っていく。