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 前回は、R&DのR(研究)にフォーカスし、超長期テーママネジメントとオープンイノベーションに関するデジタル活用の最新事例を紹介しました。今回は自動車開発のDX実現に向けて、研究フェーズも含めてどのような取り組みが進んでいるかを紹介します。

自動車開発におけるDXレベル

 自動車開発の実例について紹介する前に、まず自動車開発におけるDXの進展度合い(レベル)について説明します。同レベルは4段階(0~3)に分けられます(図1)。

図1 自動車開発におけるDXのレベル
図1 自動車開発におけるDXのレベル
(出所:アーサー・ディ・リトル・ジャパン)
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 レベル0は、旧来的なプロトタイプの試作/評価を軸とした、“モノ”を活用したトライ&エラーの開発です。

 レベル1は、デジタル開発が一部導入され、特定のコンポーネントもしくは性能領域に限定すればバーチャルのPDCAサイクルが回せる状態を指します。

 レベル2は、さらにデジタル開発の導入が進み、複数のコンポーネントもしくは性能領域にまたがる検証もバーチャル上で実行可能となっている状態です。開発初期のDR(Design Review)については、プロトタイプによる実機確認がなく、シミュレーション結果のみで実施できることとします。

 レベル3は、現状考えられるDXの到達点で、ほぼ全ての開発をバーチャル上で実現し、プロトタイプを用いた実車検証は開発完了時の最終確認のみ、という状態と定義します。

 当然、レベル0から3へ進展させるのに伴い、本コラム第1回で紹介したプロセス/デジタルモデル/業務インフラの三位一体の改革を進めていく必要があります。

 当社で調査した限り、現状でレベル3に到達しているOEMはありませんが、欧州を中心としたDXで先行するOEMはレベル2に相当する開発を実際に行っています。逆に、国内ではレベル1でとどまっているOEMも多数存在します。

 R&D DXで遅れを解消しようとする際、陥りがちな代表的パターンとしては下記の2点が挙げられます。

  • 一気にレベル3まで見据えて実現しようとする
  • デジタルモデル導入という手段が目的化してしまい、モデル作成に傾倒する

 実際は、レベル0から1、レベル1から2へと進むためには開発だけではなく研究も含めて取り組むべきアクションが存在します。順に紹介します。