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 BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)は産業バリューチェーンの在り方を変える役割にとどまらず、将来の都市インフラとしての役割も帯びつつある。第4回では、モビリティーの観点から、人・モノの移動を支える都市インフラとしての可能性について、先進事例を交えて考察する。

BIMによる施設周辺でのモビリティー革新

 近年、MaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)やオンデマンドバスなど、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などの技術を活用した新しいモビリティーサービスの社会実装が進みつつある。さらに、自動運転の実証実験も全国各地で展開され、今後の社会実装に向けて期待が高まっている。

 こうしたモビリティーの進化が進む一方、モビリティーはあくまで手段であるため目的地との連携が重要であるとの認識も広がっており、目的地となる施設を対象としたBIMの活用可能性は大きい。

 今回は、BIMによるモビリティー革新に向けた取り組みとして、(1)移動経路のみならず目的地の施設内を含めた網羅的なルート案内、(2)敷地内・街区内における施設管理と一体の自動運転サービス、(3)施設内でのパーソナルモビリティー・サービスロボットの協調――について説明する〔図1〕。

〔図1〕BIMによるモビリティー革新の可能性
〔図1〕BIMによるモビリティー革新の可能性
(資料:アーサー・ディ・リトル・ジャパン)
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事例1 施設内を含めた網羅的なルート案内

 出発地から目的地までの複数の交通手段を組み合わせ案内するMaaSの取り組みが国内外で広がっている一方、目的地となる施設内の案内まで網羅する取り組みも生まれ始めている。

 地図サービス企業のオランダ・HERE Technologies(ヒア・テクノロジーズ)は、地図アプリ「HERE WeGo」において施設内の情報を組み合わせたルート案内機能の実現を計画している。従来のルート案内では、利用者が施設まではアクセスできても、その後に施設内の出入り口や経路が分からずに迷ってしまうことが少なくない。この課題に対して、フロア構成や店舗配置などの施設内の情報を組み合わせた案内機能を持たせることで、最終目的地まで正確に導くことを可能とする。

 こうしたルート案内は、利用者の視点で移動の利便性を高めるだけでなく、施設の運営事業者の視点でも施設内での利用者の誘導や回遊性向上を促せるマーケティングツールとしての可能性を秘めている〔図2〕。

〔図2〕BIMの活用による施設内を含めた網羅的なルート案内
〔図2〕BIMの活用による施設内を含めた網羅的なルート案内
(資料:アーサー・ディ・リトル・ジャパン)
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