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 連載第4回では、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)が、今後モビリティー領域で果たし得る役割について概説した。第5回は、モビリティーから射程を広げ、都市インフラ・公共財の観点から、BIMのさらなる発展可能性について事例を交えて考察を試みたい。

進化する都市とBIMの役割

 近年、世界のスマートシティー開発競争が加速している。

 そうした構想の多くは、各種都市アセットを“つくりっぱなし”にすることなく、都市で生み出される膨大なデータを組み合わせながら、様々な都市機能やサービスが改善され続けていく世界観を描いている。いわば“都市のDX(デジタルトランスフォーメーション)”が期待されているというわけだ。

 こうした時代の要請に対し、これまで “建造物単位”の“設計・施工フェーズでの静的な活用”にとどまっていたBIMが、これからは “都市単位”での“運用フェーズを含む動的な活用”を支える基盤へと、その役割を広げていくのは必然といえるだろう。その際、関わるステークホルダーも、従来の建設・不動産業界中心の構造から、官民含む都市関連の様々なプレーヤーへと広がっていくことが想定される〔図1〕。

 以下では、BIMと都市関連データの連携を前提とした(1)まちづくり手法の進化、(2)インフラ管理の高度化、(3)マネタイズモデルの拡張――の3つの切り口から“都市のDX”の取り組みを紹介する。

〔図1〕都市視点でのBIM活用の捉え方
〔図1〕都市視点でのBIM活用の捉え方
(資料:アーサー・ディ・リトル・ジャパン)
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