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 本連載の第2回から第6回までは「What」、つまり何を目指すのか、参考事例を紹介してきた。第7回は「How」、つまりどのように実現していくのか、参考になる考え方を紹介したい。

 前回までに紹介したとおり、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)はバリューチェーンを横断する形での活用やインフラとしての活用をすることで、より効果を発揮する。従って、目指す姿を実現するためには複数のプレーヤーが協力することが必要になることが多い。

 BIM活用に関するものを含め、複数のプレーヤーが協力して進めるイノベーションが最近増えている。はやりの言葉で言うところの「オープンイノベーション」や「エコシステム(協業の生態系)」である。「オープンイノベーションにより、エコシステムの構築を目指す」と言えば、こうした取り組みが増えていることを実感してもらえるだろうか。

「オープンイノベーション」の先進事例

 具体的な事例を2つ挙げたい。

 1つ目の事例は、ダイキン工業やオカムラ、パナソニック、ライオンなどが出資する「point 0」(ポイントゼロ、東京・千代田)の取り組みだ。同社が運営する東京・丸の内の会員制コワーキングスペース「point 0 marunouchi」において、異業種の企業が参画して未来のオフィス空間づくりに向けた実証実験を進めている。参加企業数は2020年5月12日時点で16社。プロジェクト開始後、出資企業に加え、清水建設、鹿島など参画企業が増えている。

 「point 0 marunouchi」は、ダイキン工業が18年に発表した空間データの協創プラットフォーム「CRESNECT(クレスネクト)」の第1弾プロジェクトの位置づけだ。本プロジェクトで参画企業は目的を明確にし、プレスリリースで公開している。

point 0 marunouchiのフレックススペース。各利用者が自由に席を選んで働ける。自由席とは別に固定席も設けられていて、point 0 marunouchiで実証事業をする企業などが入居している(写真:日経アーキテクチュア)
point 0 marunouchiのフレックススペース。各利用者が自由に席を選んで働ける。自由席とは別に固定席も設けられていて、point 0 marunouchiで実証事業をする企業などが入居している(写真:日経アーキテクチュア)
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 2つ目の事例は、仏Dassault Systemes(ダッソー・システムズ)によるオープンイノベーション・ラボ「3DEXPERIENCE Lab」の取り組みである。スタートアップ企業やメーカー各社をクラウド版「3DEXPERIENCEプラットフォーム上」でつなぎ、アイデアの検討と絞り込み、設計とエンジニアリング、製造の課題解決などを行っている。

 新型コロナウイルス感染症の対策でも活用されており、中国での仮設病棟の立ち上げ、ベンチャー企業による新型フェースシールドの開発促進、創薬支援などの成果を上げている。

 こうした先進的な取り組みが増加する一方で、うまくいっていない事例も目につくようになってきた。バリューチェーン上の必要なプレーヤーが集まり、かつそれらが各業界の有力企業で顔ぶれに問題がない場合でも、である。定期的に会合を重ねても一向に話が進まない、雰囲気も高まっていかないということは、よくあるケースだ。